アカフジツボ(その他表記)Balanus tintinnabulum rosa

改訂新版 世界大百科事典 「アカフジツボ」の意味・わかりやすい解説

アカフジツボ
Balanus tintinnabulum rosa

岩礁などには付着せず,もっぱら船底ブイおよび定置網のうきや綱などに多数付着する,蔓脚(まんきやく)亜綱フジツボ科の甲殻類。殻は円錐形をしており,非常に成長が早く,相模湾などでは新たに入れた定置網のうきなどに,半年もたたないうちにたくさん付着して,直径3cm,高さ2cmくらいの大きさになる。殻の表面は滑らかで,ふつう赤色をしているが,淡赤色や白色のものもある。クロフジツボなどは殻の底が岩にしっかりついていて,はがすと底のほうがたいていこわれてしまうが,アカフジツボは付着している基盤から容易に完全な形ではがすことができる。本州北部から台湾近海まで分布する。近似のオオアカフジツボB.t.volucanoは直径4cm,高さ5cmを超える大型になり,おもに南日本暖流域の外洋に面した低潮線付近の岩礁に着生する。殻は円筒に近い円錐形をしており,表面に不規則な縦肋と,下半分に下に向いて生ずる小棘(しようきよく)がある。
フジツボ
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アカフジツボ」の意味・わかりやすい解説

アカフジツボ
Megabalanus roseus

顎脚綱無柄目フジツボ科の海産動物。殻径 3cm,殻高 2cmほどになる。殻の表面はなめらかで,一様に紅赤色である。船底や浮標などに付着することが多い。生殖期は 3~5月。青森県陸奥湾から沖縄県西部の八重山諸島まで分布する日本固有種で,新生代新第三紀層より化石も出土している。近縁のオオアカフジツボ M. volcano は殻高 5cmをこえることもある。神奈川県相模湾以南八重山諸島まで分布し,外洋に面した岩礁の低潮線付近に群生する。生殖期は 7~10月。(→顎脚類甲殻類節足動物フジツボ類

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アカフジツボ」の意味・わかりやすい解説

アカフジツボ
あかふじつぼ / 赤藤壺
赤富士壺
red acorn barnacle
[学] Balanus roseus

節足動物門甲殻綱完胸目フジツボ科に属する海産動物。殻径3センチメートルほどで、殻高は2センチメートル内外。青森県陸奥(むつ)湾から本州を経て八重山(やえやま)列島まで分布する日本固有種で、船底、浮き(ブイ)、定置網などにつく。殻表は滑らかで、一様に赤色。近縁種のオオアカフジツボB. volcanoは殻高5センチメートルに達する大形種で、円筒に近い円錐(えんすい)形。色はくすんだ赤色で、殻表に不明瞭(ふめいりょう)な縦肋(じゅうろく)がある。外洋性の岩礁の岩につく。

[武田正倫]

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