日本大百科全書(ニッポニカ) 「アシガバート」の意味・わかりやすい解説
アシガバート
あしがばーと
Ашгабат/Ashgabat
中央アジア南西部、トルクメニスタン共和国の首都。イランとの国境にあるコペト・ダグ山脈の北麓(ほくろく)近く、標高214~240メートルの平原を占める。人口52万5000、都市圏人口60万5000(1999)。1963年カラクム運河が開通。中央アジア鉄道(トルクメンバシ―タシケント)が通じている。トルクメニスタンがソ連の構成共和国であった時代はアシュハバードАшхабад/Ashhabadとよばれたが、ソ連崩壊後の1992年トルクメン語のアシガバートの名でよばれることになった。市名の語源はアラビア語のアシュクAshk(愛)とペルシア語のアバードAbad(都市)の合成語に由来するといわれる。古くからあった同名の村の近くに、1881年帝政ロシアの要塞(ようさい)が建設され、ザカスピ州の中心地となった。1948年の大地震で壊滅的打撃を受けたが、やがて機械工業を中心に各種の工業が発達し、トルクメン大学、科学アカデミーなど大学や研究所が集中している。とりわけ砂漠研究所と地震研究所はよく知られている。付近にパルティア時代の遺跡として知られるニサ遺跡(二つある)、南トルクメニスタンの新石器文化調査の発端となったアナウ遺跡、アナウ・モスクの廃墟(はいきょ)(15世紀)などがある。
[加藤九祚]