カラクム運河(読み)からくむうんが(その他表記)Каракумский Канал/Karakumskii Kanal

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラクム運河」の意味・わかりやすい解説

カラクム運河
からくむうんが
Каракумский Канал/Karakumskii Kanal

トルクメニスタン共和国にある灌漑(かんがい)用運河アラル海に注ぐアムダリヤの水をアフガニスタンとの国境に近いムクリ付近で取り入れ、マリー、テジェン付近を経て、アシガバート西方に至る。延長約1400キロメートル。1954年に建設が始まり、1963年に一部開通、1988年に完成した。これによってカラクム砂漠南部における綿花栽培や牧草地化が進んだ。しかし、灌漑水をとられたアムダリヤは流量が減り、アラル海への流入が大きく減少して、アラル海の湖面の低下、湖面積の縮小がおこった。また運河周辺では地下水位の上昇により、塩害が発生している。

青木栄一・青木 亮]

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百科事典マイペディア 「カラクム運河」の意味・わかりやすい解説

カラクム運河【カラクムうんが】

トルクメニスタン南部,カラクム砂漠の運河。アフガニスタンとの国境近くアム・ダリヤ河畔のケルキからトルクメニスタンを横断しカスピ海に達している。全長約1400km。1954年建設を開始,1979年1069kmが開通し1988年まで延長工事が行われた。灌漑(かんがい)と水運を目的とし,綿花の栽培を促進したが,この運河の影響で周辺地域の塩分濃度が高くなり塩害を引き起こした。さらにアム・ダリヤ川から水を引いた影響でアラル海が縮小する影響もでている。
→関連項目トルクメニスタンマリ(都市)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カラクム運河」の意味・わかりやすい解説

カラクム運河
カラクムうんが
Karakumskii kanal

トルクメニスタン南部の運河。灌漑と航行に利用され,漁業も行なわれる。全長約 1400km。アムダリア中流部のボサガ村(ケルキ市の少し上流)に始まり,カラクム砂漠の周囲をまわるように横断し首都アシガバート西方にいたる幹線部分約 840kmは,1954年に建設が開始され,1967年に完成した。1970~80年代にカスピ海沿岸まで延長された。水は途中で分岐する水路を通じて灌漑用にほぼ取水される。重油などによる汚染を防ぐため,就航する船にはトロリー架線)から集電するモータ船が使用される。この運河の開削により,トルクメニスタンの農牧地は飛躍的に面積を拡大することになった。

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世界大百科事典(旧版)内のカラクム運河の言及

【カラクム砂漠】より

…古くキャラバン・ルートがあったが,今日では南部に綿花や牧畜の農場があり,また,西部や北部に油田,ガス田がある。なお,1959‐79年,砂漠の南部に灌漑・水運用として,アム・ダリヤからアシガバートを経てバハルデンに至る全長1069kmのカラクム運河が建設され,現在も延長工事が続行されている。【小野 菊雄】。…

※「カラクム運河」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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