改訂新版 世界大百科事典 「トゥラン低地」の意味・わかりやすい解説
トゥラン低地 (トゥランていち)
Turanskaya nizmennost'
中央アジア地方の中央部を占める広大な低地。ツラン低地とも呼び,ロシア連邦南西部からカザフスタンなどの中央アジア諸共和国にまたがる。領域は特定しにくいが,カスピ海の東側で東西2000km,南北1500km程度である。キジルクム,カラクム両砂漠を中心とした堆積層からなる低地と台地,残丘をもつ準平原,極度の乾燥気候がその特徴である。低い地点はカスピ海東岸に近いカラギエ低地の海面下132mのほか,各所に-30m程度の干上がった湖底がある。最高点はキジルクム砂漠中に準平原状に高まるタムディタウ山系中のアクタウ山(922m)。トゥラン低地では石油と天然ガスの埋蔵が知られ,すでに採掘のはじまったガズリ天然ガス田(ブハラの北西約100km)からはモスクワ方面へガスのパイプラインが通じている。植生は貧しいが,周辺部では羊,ラクダ,馬などの飼育を主とした農場や灌漑農業を主とした農地がみられる。
執筆者:渡辺 一夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報