アズマギク(読み)あずまぎく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アズマギク」の意味・わかりやすい解説

アズマギク
あずまぎく / 東菊
[学] Erigeron thunbergii A.Gray

キク科(APG分類:キク科)の多年草。茎は直立し、高さ10~40センチメートル。根出葉はへら状倒披針(とうひしん)形で幅1~2センチメートル。やや束生する。同形で根出葉よりは小さめの葉が2~3個、茎に互生する。4~6月、淡紫色の舌状花と黄色の筒状花からなる頭花が茎の頂に単生する。開花直径は3~3.5センチメートルで、美しい。中部地方以北の本州の乾燥した草原に生える。西日本ではみられないが、関東に多いキクという意味で和名がつけられた。なお、一般にアズマギクとよばれる園芸品種はミヤコワスレのことで、ここでいうアズマギクとは関係がない。

[小山博滋 2022年1月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アズマギク」の意味・わかりやすい解説

アズマギク(東菊)
アズマギク
Erigeron thunbergii(Aster dubius)

キク科の小型の多年草で,本州中・北部山地草原に生じる。葉は長さ4~8cmのへら形で根生し,ロゼットをつくる。茎は高さ 10~40cmとなり,全体に長い毛が密生する。初夏に,花茎の頂端に1個の頭状花をつける。花径3~3.5cm,淡紅色を帯びた細い舌状花が多数ある。本州中部以北の高山帯に生じ,代表的な高山植物とされるミヤマアズマギク E. thunbergii var. glabratusは本種の変種とされ全体に毛が少く,小型で花だけは大きく目立つ。

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