アルカリ性肥料(読み)あるかりせいひりょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルカリ性肥料」の意味・わかりやすい解説

アルカリ性肥料
あるかりせいひりょう

肥料を水に溶かしたとき、水溶液の反応がアルカリ性を示す肥料をいう。強いアルカリ性肥料としては、石灰窒素、トーマスリン肥、草木灰、肥料用石灰などがあり、弱いアルカリ性肥料には、溶性苦土肥、炭酸カルシウムなどがある。これらは化学的アルカリ性肥料という。これに対して水溶液が中性または酸性の場合でも、植物に吸収されたのち、培地に塩基性反応を呈するために土壌がアルカリ性に傾く肥料を生理的アルカリ性肥料といい、チリ硝石硝酸ナトリウム)、硝酸石灰硝酸カルシウム)、魚肥、骨粉などがある。

 日本の土壌は、降水量が多く塩基が溶脱して酸性になりやすいことと、硫安硫酸アンモニウム)、塩安(塩化アンモニウム)などの生理的酸性肥料が多く施用されるので、アルカリ性肥料の使用が望ましい。しかし、硫安や塩安などのアンモニアを含む肥料とアルカリ性肥料とを配合すると、アンモニアが揮散し、窒素含量が低下するので、施用には注意が必要である。

[小山雄生]

『伊達昇・塩崎尚郎編著『肥料便覧』第5版(1997・農山漁村文化協会)』『肥料協会新聞部編『肥料年鑑』各年版(肥料協会)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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