硫酸アンモニウム(読み)りゅうさんあんもにうむ(英語表記)ammonium sulfate

翻訳|ammonium sulfate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「硫酸アンモニウム」の意味・わかりやすい解説

硫酸アンモニウム
りゅうさんあんもにうむ
ammonium sulfate

硫酸アンモニウム塩硫安ともいう。窒素肥料としてもっとも重要なものの一つ。工業的には、硫酸にアンモニアを吸収させるなどの方法によって大規模に製造される。実験室的には、アンモニア水に硫酸を加えて中和し、濃縮すれば無色透明結晶として得られる。空気中で加熱すると120℃から分解し始め、357℃でアンモニアを放って融解し、硫酸水素アンモニウムとの混合物に変わる。

2(NH4)2SO4→NH3+NH4HSO4
+(NH4)2SO4
 水によく溶けるが、エタノールエチルアルコール)、アセトン二硫化炭素には溶けない。水溶液常温ではきわめてわずかしか加水分解しないが、沸点では著しくなり、溶液は酸性を呈する。硫酸溶液から結晶させると硫酸水素アンモニウムが得られる。

[鳥居泰男]


硫酸アンモニウム(データノート)
りゅうさんあんもにうむでーたのーと

硫酸アンモニウム
(NH4)2SO4
式量132.1
融点513℃(封管中)
沸点
比重1.769(測定温度20℃)
結晶系斜方
屈折率(n) 1.5230
溶解度76.3g/100g(水20℃)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硫酸アンモニウム」の意味・わかりやすい解説

硫酸アンモニウム
りゅうさんアンモニウム
ammonium sulfate

化学式 (NH4)2SO4 。硫安ともいわれる代表的な窒素肥料。硫酸にアンモニアを反応させる中和法によって多量に生産される。また水中でアンモニアに亜硫酸ガスを反応させ,これに酸素または空気を約 20気圧で吹込んで硫安に酸化する亜硫酸法もある。無色透明な結晶 (斜方晶系) 。比重 1.77,水に易溶。 280℃以上で分解する。アンモニアミョウバンの製造,寒剤,蛋白質沈殿剤,分析試薬などに用いられるが,最大の用途は速効性窒素肥料である。 (→硫安工業 )  

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android