日本大百科全書(ニッポニカ) 「硫酸アンモニウム」の意味・わかりやすい解説
硫酸アンモニウム
りゅうさんあんもにうむ
ammonium sulfate
硫酸のアンモニウム塩。硫安ともいう。窒素肥料としてもっとも重要なものの一つ。工業的には、硫酸にアンモニアを吸収させるなどの方法によって大規模に製造される。実験室的には、アンモニア水に硫酸を加えて中和し、濃縮すれば無色透明の結晶として得られる。空気中で加熱すると120℃から分解し始め、357℃でアンモニアを放って融解し、硫酸水素アンモニウムとの混合物に変わる。
2(NH4)2SO4→NH3+NH4HSO4
+(NH4)2SO4
水によく溶けるが、エタノール(エチルアルコール)、アセトン、二硫化炭素には溶けない。水溶液は常温ではきわめてわずかしか加水分解しないが、沸点では著しくなり、溶液は酸性を呈する。硫酸溶液から結晶させると硫酸水素アンモニウムが得られる。
[鳥居泰男]