硝酸カルシウム(読み)しょうさんかるしうむ(英語表記)calcium nitrate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「硝酸カルシウム」の意味・わかりやすい解説

硝酸カルシウム
しょうさんかるしうむ
calcium nitrate

カルシウム硝酸塩硝酸石灰ともよばれる。炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウム硝酸で中和して製造することができる。飽和溶液から析出させると四水和物が得られる。無色結晶潮解性を示す。100℃で結晶水を失って無水和物となる。無水和物は吸湿性があり、水によく溶けるだけでなくアルコールにも溶ける。加熱すると132℃で分解し始め、亜硝酸塩を経て酸化物に変わる。速効性肥料としてハウス栽培や園芸用に使用される。また、硝酸塩の製造や花火などにも用いられる。

[鳥居泰男]


硝酸カルシウム(データノート1)
しょうさんかるしうむでーたのーと

硝酸カルシウム四水和物
  Ca(NO3)2・4H2O
 式量  236.1
 融点  α;42.7℃ β;39.7℃
 沸点  ―
 比重  1.82
 結晶系 単斜
 屈折率 (n) 1.498
 溶解度 129.9g/100g(水20℃)


硝酸カルシウム(データノート2)
しょうさんかるしうむでーたのーと

硝酸カルシウム
  Ca(NO3)2
 式量  164.1
 融点  561℃
 沸点  ―
 比重  2.36
 結晶系 立方
 溶解度 129.9g/100g(水20℃)
     14g/100g(エタノール15℃)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「硝酸カルシウム」の意味・わかりやすい解説

硝酸カルシウム
しょうさんカルシウム
calcium nitrate

化学式 Ca(NO3)2 。潮解性の無色結晶 (4水和物) 。硝酸石灰は誤称である。 43℃で結晶水に溶け,100℃以上で無水塩となる。融点約 560℃。水に易溶,溶解すると発熱する。メチルアルコールエチルアルコール,アセトンには容易に溶けるが,濃硝酸に不溶。爆薬,肥料,マッチ,ガスマントル,硝酸の製造などに使われ,またディーゼル油の腐食防止剤にもなる。

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