アルストロメリア(読み)あるすとろめりあ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルストロメリア」の意味・わかりやすい解説

アルストロメリア
あるすとろめりあ
[学] Alstroemeria L.

ヒガンバナ科(APG分類:ユリズイセン科)の球根草。南アメリカ原産。ユリズイセンともいう。鉛筆大の細長い肉質の塊茎を数十本つけるものや、地下茎を出してその先に新球をつける性質のものもあり、種類が多い。秋植えですぐ出葉し、細長くよじれながら出てくる。花茎は早春伸長、6月に0.7~1メートルとなり、先端に、径2~3センチメートルの筒状の花を10個ほど散形状につける。切り花、花壇用によくつくられる。キバナユリズイセンA. aurantiaca、オレンジキング、リグツハイブリダA. ligtu Hy.などがよくつくられる。近年は種間雑種などによる優秀な園芸品種がヨーロッパから導入され、濃赤、淡桃、黄、白、複色など、色彩も豊富で、優秀な品種がある。これらの園芸品種は夏季休眠せず、四季咲きとなる性質をもつ品種もあり、寒冷地ではよくできるが、暖地ではむずかしい。暖地での栽培種としては一季咲きのリグツハイブリダ、ドクターサルター、あるいは日本でこれらの系統から改良された品種が適する。これらは9月定植すると地下茎を3~4本伸ばし、その先に新球をつくりながら開花するので、開花後に休眠させ分球して殖(ふ)やすこともできる。定植は日当り排水のよい所がよい。

[魚躬詔一 2018年11月19日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルストロメリア」の意味・わかりやすい解説

アルストロメリア
Alstroemeria; lily-of-the-Incas; Peruvian lily

アルストロメリア科アルストロメリア (ユリズイセン) 属の総称。南アメリカに約 50種が分布する。花被片は 6枚あり,内側の 3枚 (内花被) に暗色の条斑 (じょうはん) がつくが,育種の結果,花被片に条斑のないものも生まれている。披針形の葉が互生葉柄がねじれていて,しばしば葉裏が上を向く。白色桃色,赤色,橙色,黄色,複色など多彩な花色がある。チリ原産のいくつかの種を中心に育種が進み,切り花や鉢花として利用されている。花もちや水揚げがよいため切り花としては特に人気が高く,周年流通している。高温多湿を嫌う種類が多いが,ユリズイセン A.pulchella などの耐暑性の強いものは地植えでも楽しめる。

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