アルハンブラ宮殿(読み)アルハンブラきゅうでん(英語表記)Alhambra

翻訳|Alhambra

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルハンブラ宮殿」の意味・わかりやすい解説

アルハンブラ宮殿
アルハンブラきゅうでん
Alhambra

スペイン,グラナダ東方の丘に建つ,スペインにおける最後のイスラム政権ナスル朝王宮アルハンブラは「赤い城」を意味するアラビア語が転訛したもの。現存する宮殿大部分はユースフ1世 (在位 1333~54) とその子ムハンマド5世 (在位 1354~91) の治世に造営された。現在は一連の宮殿となっているが,本来は「天人花 (ミルト) の中庭」を中心とする部分と,「獅子の中庭」を中心とする部分とはそれぞれ別個の独立した宮殿であった。ほかにも宮殿の建物はあったが,完全な形で残っているのはこの2部分のみである。スペインにおけるイスラム王朝文化の最も爛熟したかたちを示しており,諸室の壁面を覆う多彩なスタッコ細工および彩釉タイルによる豊麗な装飾は人工美の極致を示し,また静水面と草花低木,あるいは大小の水盤と明渠などをモチーフとした中庭 (パセオ) は,庭園と建築との完全な調和を創造するイスラム庭園文化の真髄を示している。 1984年ヘネラリーフェ離宮アルバイシン地区とともに,世界遺産の文化遺産に登録。

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