オレンジ(読み)おれんじ(英語表記)sweet orange

デジタル大辞泉 「オレンジ」の意味・読み・例文・類語

オレンジ(orange)

ミカン科ミカン属の一群の果樹。また、その果実。バレンシアオレンジネーブルなど。
オレンジ色」の略。
[類語]柑橘類蜜柑だいだい金柑枳殻からたち

オレンジ【Orange】[地名]

オーストラリア、ニューサウスウェールズ州中東部の都市。シドニーの西約250キロメートルに位置する。サクランボウ・モモなどの果樹栽培が盛ん。ワイン産地としても有名。かつてゴールドラッシュでにぎわった。

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精選版 日本国語大辞典 「オレンジ」の意味・読み・例文・類語

オレンジ

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] orange )
  2. ミカン科ミカン属の常緑小高木で、果実が食べられる種類の総称名。花は香が強く、果実は香気があり甘味や酸味に富み、生食、ジュースなどとする。
    1. [初出の実例]「ヲレンズ(亜名)と云ふあり、其形橙の如く、味甘にして蜜柑に似たり」(出典:航米日録(1860)三)
  3. ミカン類の一種。ネーブルに似るがやや大形。食用にする。
  4. 慣用色名の一つ。赤みがかった黄色。橙色。オレンジ色。
    1. [初出の実例]「髪の美しさを誇張する、オレンヂの色調」(出典:ゴッホの手紙(1951‐52)〈小林秀雄〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オレンジ」の意味・わかりやすい解説

オレンジ(ミカン科)
おれんじ
sweet orange
[学] Citrus sinensis Osbeck

ミカン科(APG分類:ミカン科)の常緑小高木。別名スイートオレンジアマダイダイ(甘代々)、キンクネンボ。原産地はアッサムで、中国およびインド、中近東を経て地中海、東アフリカに伝播(でんぱ)し、さらに世界に広まった。日本へは1888~1891年(明治21~24)ころ渡来した。冬季が温暖で乾燥する地帯に適し、熱帯から温帯南部に多い。花は5月ごろ開き、やや小形で白色、芳香に富む。果実は円形ないし楕円(だえん)形で、150~250グラム。果皮はむきにくい。香気が強く、甘味に富む。ビタミン類も多く、果肉100グラム中にビタミンC6ミリグラムのほかビタミンB類にも富む。

[飯塚宗夫 2020年10月16日]

品種

枝がわりや実生(みしょう)変異が多く、100余品種が知られる。ヒュームH. H. Humeはアメリカにある品種群を次のように4大別した。

(1)スペイン系 スペイン人により導入され、フロリダに多い。大果で肉質はやや粗く、多雨にも耐える。インディアンリバー、パーソンブラウンなどの品種がある。

(2)地中海系 地中海沿岸から南ヨーロッパでおきた品種群で品質はよい。夏季乾燥する地方に適する。バレンシアパイナップル、ジョッパ、ジャッファなどの品種がある。福原オレンジはユズ台に接いだジョッパの枝がわりといわれる。

(3)血ミカン系 南ヨーロッパ原産で、熟果の果皮や果肉は濃紅色。品質はよいが、血色が嫌われ減少しつつある。マルチーズブラッド、ルビーブラッドなどの品種がある。

(4)ネーブル系 多くの品種の果実は心皮の形成が二重ないし三重となってできたネーブルnavel(へその意味)をもつ。ネーブルオレンジブラジル起源でセレクタオレンジの枝がわりといわれる。日本には1889年に導入された。比較的矮性(わいせい)で、雌性器官は受精能力があるが、花粉不稔(ふねん)のため種子なし果を結ぶ。しかし、よい花粉のできる品種と混植すると種子ができる。12月下旬から収穫され、品質はよい。本種には多くの枝がわりがある。結果率のよい鵜久森(うくもり)(1938年発表)、早熟の吉田や大三島、早熟で貯蔵性のある丹下(たんげ)、糖度が高く3、4月まで貯蔵のきく森田、甘くて豊産の清家(せいけ)その他がある。実生から得られたトロビタオレンジ(1916年発表)は果形は丸く150グラム程度で、へそはない。品質はよく豊産である。バレンシアオレンジはポルトガル領アゾレス諸島で発見された品種で、アメリカに導入(1870年)以来、広く栽培され、日本にも1903年(明治36)に入ったが耐寒性が弱い。本品種は世界一の生産量を示す。ほかにワシントンネーブルもよく知られている。

[飯塚宗夫 2020年10月16日]

生産

オレンジの世界の総生産量(2016)は7319万トンで、ブラジル、中国、インド、アメリカ、メキシコエジプト、スペインなどが多い。日本では420.3ヘクタール、6431トン(2015、ネーブルオレンジ)を産し、年々減少している。

[飯塚宗夫 2020年10月16日]

食品

生食のほかジュース、マーマレード、果皮の砂糖漬け、砂糖煮など利用面は広い。オレンジジュースは搾り汁を88~90℃に数秒つけ、製品中のフレーバーを分解する酵素を分解し、この液10キログラムに対し1.45キログラム前後のショ糖を加えて真空脱気してつくる。濃縮ジュースは、これをさらに43℃以下で真空濃縮して、糖度65度前後に加工したものである。多くはビタミンCを添加してある。オレンジマーマレードは生果10キログラムに対し、ショ糖1.1キログラム、粉末ペクチン25グラム、酸を少々加え、糖度を70度程度に煮つめてつくる。

[飯塚宗夫 2020年10月16日]

文化史

オレンジの名は、サンスクリット語のナガルンガNagarunga、ヒンディー語のナルンジーNarungeeからアラビア語のナルンジNarunjiを経て英名となった。ナガルンガは、サンスクリット語の文献では酸っぱいサワーオレンジ(ダイダイ)を意味し、疲労回復や消化促進の薬に使われた。甘いスイートオレンジは、いつ、どこで誕生したのかはっきりしていないが、紀元後の早い時期に、中国あるいはベトナムからインドへ伝わり、14世紀までにはイタリアに達していた。本格的にヨーロッパに広がるのは、1498年インドに到着したバスコ・ダ・ガマの航海以降で、東洋から直接導入されてからである。なお、西洋の結婚式にオレンジの花が使用されるのは、白い花を純潔の象徴とし、またオレンジの実の多産性と木の常緑性から子供に恵まれ、繁栄するようにと願う慣習からである。

[湯浅浩史 2020年10月16日]



オレンジ(オーストラリア)
おれんじ
Orange

オーストラリア、ニュー・サウス・ウェールズ州中部の都市。人口3万5521(2001)。シドニーの西北西、道路で265キロメートルに位置し、サクランボをはじめとする果樹栽培、小麦、ヒツジの農牧業の中心地。電気機械、毛織物(日系企業)など軽工業も発達している。近くの金鉱(オファー)のゴールド・ラッシュ(1851)でも知られる。1946年市制施行。名称はイギリス皇族(現在はオランダ王家)のオレンジ家に由来。

[谷内 達]

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改訂新版 世界大百科事典 「オレンジ」の意味・わかりやすい解説

オレンジ
orange
Citrus

かんきつ類のうち,ミカン属(カンキツ属ともいう)Citrusに含まれるものの一群で,大きく次の三つに分けられる。(1)スイートオレンジC.sinensis Osbeck(英名sweet orange) アマダイダイ(甘橙)といわれる種類。普通にオレンジというとこのスイートオレンジをさす。さらにバレンシアオレンジなどの普通系オレンジcommon orange,ネーブルオレンジnavel orange,血ミカンblood orange(またはpigmented orange),無酸オレンジsugar orange(またはacidless orange)の4種に分類できる。(2)サワーオレンジC.aurantium L.(英名sour orange) ビターオレンジbitter orangeともいわれる。日本のダイダイ(橙)もこの中に含まれる。葉が極端に小さいマートルリーフオレンジmyrtle-leaf orange,果実の形・色がライムに似たベルガモットオレンジbergamot orange,萼が肥厚したザ(座)ダイダイなどが含まれる。(3)マンダリンオレンジC.reticulata Blanco(英名mandarin orange) 通常,果皮が黄橙色のマンダリンと紅橙色のタンゼリンtangerine orangeに大別される。

3種ともインドのアッサムを中心とするアジア南東部が原産地。中国へは比較的早く伝播(でんぱ)し,マンダリンは4000年以上,サワーオレンジ,スイートオレンジは2000年以上の歴史があるといわれる。陸路揚子江(長江)を東に下って伝播し,品種群がつくられた。西欧には12世紀ごろアラブの通商ルートによりサワーオレンジが伝わり,15世紀初期に同じく陸路イタリアの通商ルートでスイートオレンジが伝播した。別に,喜望峰を回る航路の発見(1498)後,ポルトガル人により中国から優良な品種が導入された。マンダリンオレンジは1805年中国からイギリスに導入された。アメリカ大陸に伝播したのはコロンブスの新大陸発見以後である。オーストラリアにはさらに遅い。日本への導入はサワーオレンジ,マンダリンオレンジが古い。記紀に記されているトキジクノカクノコノミ(非時香菓)はダイダイだろうといわれている。マンダリンの1種コウジ(甘子,たぶん紅(大)柑子)が,奈良時代に唐より導入された。この類の1種であるタチバナは日本の原産種。スイートオレンジの導入は以前にも南方から鹿児島への導入が知られているが,おもに明治以降である。

3種類のおもな差異をみると,枝条はマンダリンが他2種に比べ一般に細い。葉もマンダリンは小さいものが多い。翼葉はサワーオレンジは比較的大だが,他2種は小さい。とくにマンダリンは小さい。とげの発生はマンダリンはほとんどないが,他の2種は少し生ずる品種がある。スイートオレンジで目だつ。果実の剝皮性はマンダリンは容易だが,他2種は難。スイートオレンジは最も難。果形はマンダリンは扁平のものが多い。サワーオレンジ,スイートオレンジは球形だが,スイートオレンジの方が一般に長球形。サワーオレンジ,スイートオレンジは総状花序を形成するが,マンダリンは一般に単生花。花の大きさは中程度で,花弁の長さは20mm前後。しかしマンダリンは他2種に比べ花がかなり小さいものが多い。花弁は五つで白色だが,マンダリンは他2種に比べ白みが強く光沢のあるものが多い。開花期は5月上・中旬だが,マンダリンは一般に他2種に比べ遅く,中・下旬のものが多い。

スイートオレンジ,マンダリンオレンジ類はおもに生食用にされる。しかし,かなりの量が加工用としてジュース,シロップ漬などにされる。大産地ブラジルのオレンジは加工用としてジュースにされる方が多い。ネーブルオレンジはジュース原料としては,苦みを生ずるため不向きである。サワーオレンジはマーマレード,食酢,正月のお飾用として利用される。
かんきつ類
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オレンジ
Orange

オーストラリア,ニュー・サウス・ウェールズ州,シドニーの西北西265km(道路距離)にある都市。人口3万(1991)。果樹,混合農業,肉用羊地帯の中心地で,とくにサクランボで知られる。電気機器工業をはじめ軽工業が発達し,日系企業の毛織物工場もある。近くの金鉱(オファー)のゴールド・ラッシュ(1851)をきっかけに発展。1946年市制。市名はイギリス皇族(後のオランダ王家)名に由来する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オレンジ」の意味・わかりやすい解説

オレンジ
Orange

アメリカ合衆国,ニュージャージー州ニューアークのすぐ西側にある都市。ニューヨーク市の西 20kmに位置する。 1678年入植。初めはマウンテンプランテーションと名づけられたが,のちにオレンジ (オランニェ) 公にちなんで改称した。 1785年以後帽子製造の中心地。 1830年代に鉄道敷設。産業革命から南北戦争ののちまでは製靴業が盛んであった。長くニューアーク市域の一部であったが,1806年分離。もと市域中に含んでいたイーストオレンジウェストオレンジ,サウスオレンジ,メープルウッドの4自治体とともに郊外住宅地域をつくっている。コンピュータ,航空機部品,薬品などの工場もあるが,おもにニューヨークおよびニューアーク両市の衛星住宅都市的な性格をもつ。人口2万 9925 (1990) 。

オレンジ
Orange

アメリカ合衆国,テキサス州南東部の都市。ルイジアナ州との境界をなすサビーヌ川河口付近に位置し,水深の大きな港で,運河によってメキシコ湾に通じている。 1836年に入植開始。林業地および港町として発達し,40年代には早くも蒸気力による製材所が開かれた。南北戦争で一時寂れたが,81年から復興が始った。第1次世界大戦中,造船所が設置され,市の主産業となった。第2次世界大戦後は海軍基地がおかれている。天然ガスと石油の産地にあり,石油化学,合成ゴム,セメント工業が発達。人口1万 9381 (1990) 。

オレンジ
Orange

アメリカ合衆国,カリフォルニア州南部の都市。北西約 50kmに位置するロサンゼルスの衛星都市。町の起源は 1871年にさかのぼるが,その後ロサンゼルスの拡大に伴って発展した。冬でも温暖で海に近く,オレンジ栽培地帯にあるので地名となった。柑橘類の加工や包装紙の製造業,航空機産業や電子工業などが進出している。人口 13万6416(2010)。

オレンジ
Orange

オーストラリア,ニューサウスウェールズ州東部,シドニーの西北西 266kmにある都市。ゴールドラッシュの歴史をもつが,現在は果樹,混合農業,牧羊の中心地。 1972年に 55km東のバサーストとともに成長拠点都市に指定され,電気器具はじめ工場誘致が進んでいる。人口3万 2846 (1991推計) 。

オレンジ

柑橘類」のページをご覧ください。

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色名がわかる辞典 「オレンジ」の解説

オレンジ【orange】

色名の一つ。JISの色彩規格では「あざやかな黄赤」としている。一般に、柑橘類オレンジの果皮のようなみがかった黄色のこと。オレンジはバレンシアオレンジ、ネーブルオレンジなどミカン科ミカン属植物の総称。黄と赤の中間色として系統色にもなっている。和名のだいだいに相当し、JISの色彩規格でも同色としている。現代では日本人もオレンジ色という用語を自然に使っている。また、日本の多くの企業でコーポレートカラーに採用している。

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百科事典マイペディア 「オレンジ」の意味・わかりやすい解説

オレンジ

ダイダイなど酸果種のサワーオレンジと,甘果種のスイートオレンジ(和名アマダイダイ)とに大別されるが,日本でオレンジといえば後者をさす。インド原産のミカン科の高木で,代表的柑橘(かんきつ)。果実を生食し,ジュース原料ともなる。ネーブル,福原,バレンシア等の品種がある。

オレンジ[川]【オレンジ】

アフリカ南部の大河。ドラケンスバーグ山脈中に発し,南ア共和国内を西流し,ナミビアとの境界をなして大西洋に注ぐ。最大の支流はバール川。全長2100km。南ア共和国の大部分を流域とする。1962年からオレンジ川開発の長期計画が発足し,ダム・発電所の建設が進められている。
→関連項目オレンジ自由州[州]

オレンジ[家]【オレンジ】

オラニエ=ナッサウ[家]

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デジタル大辞泉プラス 「オレンジ」の解説

オレンジ〔J-POP:安全地帯〕

日本のポピュラー音楽。歌は日本のバンド、安全地帯。2010年発売。作詞・作曲:玉置浩二。テレビ朝日系で放送のドラマ「おみやさん(第7シリーズ)」の主題歌。

オレンジ〔J-POP:GReeeeN〕

日本のポピュラー音楽。作詞・作曲と歌はJ-POPグループ、GReeeeN。2012年発売。資生堂「シーブリーズ」のCMに起用。

オレンジ〔ボールペン〕

フランスの文具メーカー、BIC(ソシエテ・ビック)社の油性ボールペンの商品名。1961年発売。

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栄養・生化学辞典 「オレンジ」の解説

オレンジ

 [Citrus sinensis].ムクロジ目ミカン科ミカン属に属する植物.広く世界で栽培されている柑橘.

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世界大百科事典(旧版)内のオレンジの言及

【スイートオレンジ】より

…世界のかんきつ類生産量の約70%を占める。酸が多いサワーオレンジなどと区別するためスイートオレンジというが,単にオレンジと呼ばれることが多い。突然変異で多くの品種が系統分化し,それらは次の4品種群に大別できる。…

※「オレンジ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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