アロクレース鉱
あろくれーすこう
alloclasite
つねに少量の鉄(Fe)を含むコバルト(Co)の硫砒(りゅうひ)化物。アロクラス鉱ともいう。砒鉄鉱群に属する。深所生成熱水性鉱脈鉱床中に産し、自然金、自然銀、含コバルト硫砒鉄鉱、閃(せん)亜鉛鉱、グローコドート鉱glaucodot、石英、方解石などと共存する。日本では奈良県吉野郡十津川(とつかわ)村堂ヶ谷(どうがたに)鉱山から報告されている。
同定はb軸に伸びた菱柱(りょうちゅう)状による。これが長く伸び、放射状集合をなすこともある。一見硫砒鉄鉱と似るが、結晶面が出ていると、面が非常に平滑である。グローコドート鉱(直方)と同質異像関係にあるとする見解もあるが、本鉱はこれよりFeに富み、Co:Fe比では重なる領域にない。英名はギリシア語のallos(他の)とklaein(割れ方)を合成した語で、外観上類似する白鉄鉱と異なる劈開(へきかい)をもっていることにちなみ命名された。
[加藤 昭 2015年12月14日]
アロクレース鉱(データノート)
あろくれーすこうでーたのーと
アロクレース鉱
英名 alloclasite
化学式 (Co,Fe)AsS
Co:Feは大体3:1程度なので,Co3FeAs4S4という式が使われることもある
少量成分 Ni
結晶系 単斜。擬斜方(擬直方)
硬度 5
比重 6.19
色 鋼灰~銀白
光沢 金属
条痕 黒
劈開 一方向に完全。菱柱状結晶の一つの面に平行に発達
(「劈開」の項目を参照)
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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アロクレースこう
アロクレース鉱
alloclasite
化学組成Co1−xFexAsS,x=0~0.35の鉱物。砒鉄鉱グループ。グローコドートとは多形。輝コバルト鉱よりFe含有量が多く,(Co, Fe)サイトの約25%を占める。単斜晶系,空間群P21,格子定数a0.4661nm, b0.5602, c0.3411, β90.03°,単位格子中の分子数2。色:鋼灰~銀色,金属光沢,反射能48~49%(470nm),48~51(546),49~51(589),49~50(650)。5mm以下の[010]に伸長した短柱状結晶,ふつうは塊状。劈開{101}完全,{010}明瞭,硬度5,VHN100=818~940kɡ/mm2,比重5.95(測定値),6.188(計算値)。低温熱水性鉱脈鉱床から輝蒼鉛鉱・閃亜鉛鉱・方解石・石英と,また,珪化作用を受けた変成岩類中に産出。原産地はルーマニアのElizabeth鉱山。劈開が白鉄鉱と異なると信じられていたため,命名は英語のotherとbreakに対応するギリシア語に由来。参考文献:P.W. Kingstone (1971) Can. Min., Vol.10: 838
執筆者:清水 正明
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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