翻訳|marcasite
硫化鉄鉱物のひとつ。黄鉄鉱と同質異像関係にあるといわれるが、安定関係は明らかでない。浅~深熱水性鉱床、噴気性鉱床中などに産し、堆積(たいせき)岩中に団塊をなすこともある。黄鉄鉱に非常によく似た外観をもつが、これよりまれである。自形は斜方柱状。黄鉄鉱仮晶をなすことも多い。日本では、青森県中津軽郡西目屋(にしめや)村の尾太(おっぷ)鉱山(閉山)、岩手県岩手郡松尾村(現、八幡平(はちまんたい)市松尾)の松尾鉱山(閉山)などに知られる。英名はアラビア語(一説にムーア語)で黄鉄鉱をさしていた語に由来するものといわれる。
[加藤 昭]
FeS2.黄鉄鉱と同質異像の関係にある.酸性の浅成低温熱水鉱床で生成され,普通,石灰岩および粘土堆積物より産出する.斜方晶系,空間群 Pmnn.格子定数 a0 = 0.337,b0 = 0.444,c0 = 0.539 nm.密度4.875 g cm-3.硬度6~6.5.多くは板状{010},双晶面{101}の繰り返し双晶が多い.金属光沢で,青みを帯びた黄褐色.光学的異方性,多色性が強い.反射率緑52%,橙45.5%,赤44.5%.化学成分上のずれは少ないが,SがSeに数% 置換される.塩化鉄(Ⅲ)または硫酸鉄(Ⅲ)にH2Sを反応させ300 ℃ 以下で生成する.また,450 ℃ で加熱すると黄鉄鉱にかわる.化学反応は黄鉄鉱と同じ.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
化学組成FeS2の斜方晶系に属する鉱物。黄鉄鉱(等軸晶系)と多形。比重4.9,モース硬度6~6.5。不透明,金属光沢。新鮮な破面では黄鉄鉱(淡黄色)よりさらに淡色であり,白鉄鉱と名付けられているが,空気中では濃色に変化し,黄鉄鉱とよく似た色となる。自形の結晶はまれで,多くは塊状,鍾乳状でしばしば放射状の断面を示す。これと似た様相を示す黄鉄鉱もあるので注意を要する。低温の酸性溶液から鉄の硫化物が沈殿するときに白鉄鉱が生じやすいといわれている。空気中でとくに湿度の高いとき分解しやすく,多くの場合硫酸鉄を生ずる。
執筆者:由井 俊三
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