日本大百科全書(ニッポニカ) 「アントラー鉱」の意味・わかりやすい解説
アントラー鉱
あんとらーこう
antlerite
二次生成の銅(Cu)の鉱石鉱物の一つ。世界最大の銅鉱床の一つであるチリ北部チュキカマタChuquicamata鉱山の斑岩(はんがん)銅鉱床で主鉱石鉱物の一つを構成する。乾燥気候地域での発達が顕著で、原産地アメリカのアリゾナ州アントラーAntler鉱山も同類の鉱床である。日本では、兵庫県生野(いくの)鉱山(閉山)、北海道札幌(さっぽろ)市手稲(ていね)鉱山(閉山)などから微量を産する。自形は斜方板状あるいは菱形(ひしがた)の断面と庇面(ひめん)とからなる楔(くさび)状など。常温での生成では、銅の含水硫酸塩二次鉱物として本鉱に比べて普通に産するブロシャン銅鉱よりも低いpH条件が要求される。命名は原産地にちなむ。
[加藤 昭 2015年12月14日]
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