知恵蔵 「アースデイ」の解説
アースデイ
アースデイが誕生したきっかけは、ネルソンが環境問題をもっと知ってもらおうと、当時スタンフォード大学の全学学生自治会委員長をしていたデニス・ヘイズ(アースデイネットワーク代表理事)を通じて市民に呼びかけたこと。この時代、まだ環境問題に取り組む政治家は数少なかったが、ネルソンは、環境悪化が深刻な事態を招くことを多くの人に認知してもらうため、そのとき盛んに行われていた学生運動や市民運動を通し社会的な議論を巻き起こすことを発案。ヘイズの協力のもと、1970年4月22日に全米規模の環境集会、つまり初めてのアースデイが実現した。
この集会には、2千万人ものアメリカ市民が参加し、各地で環境関連のイベントやアクションが展開された。アースデイジャパンによると、ニューヨークでは10万人以上がセントラルパークのエコロジーフェアに来場、国会は休会となり、国会議員自らも環境関連の会合に参加したり演説を行ったりした。アイオワ州立大の学生が人間バリケードを作り、キャンパスに入ってくる車を阻止するという出来事も起こった。この大規模なムーブメントは、アメリカ人の環境意識を高め、のちの環境保護庁の設置や大気浄化法の成立などに結びついていった。
アースデイは最初、10年ごとに開催されていたが、1990年の世界に向けた参加の呼びかけ以後、90年代は「地球環境の10年」と位置づけられ、毎年開催されることとなった。1990年の呼びかけでは、141の国や地域で2億人が参加し、日本でも全国200カ所で、1000以上のグループがシンポジウム、ごみ拾い、フリーマーケットなどが開催された。
アースデイは、市民が自由な発想でエコロジー行動を行うもので、決まった形式や規則などはない。「やってみた日、それがあなたのアースデイです」がキャッチフレーズになっており、一人ひとりができることから参画できるようになっている。現在、アースデイは約180カ国で開催されている。
(高野朋美 フリーライター / 2009年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報