イブンフルダーズベ(英語表記)Ibn Khurdādhbeh

改訂新版 世界大百科事典 「イブンフルダーズベ」の意味・わかりやすい解説

イブン・フルダーズベ
Ibn Khurdādhbeh
生没年:820ころ-912ころ

イラン系の著名な地誌著述家。バグダードに育ち,イランのジバールを振出しにバグダード,サーマッラーの駅逓長官を務め,アッバース朝カリフ,ムータミド(在位870-892)に仕えた。9世紀後半長い年月を要して完成された《道里および諸国記》にはその豊富な経験が生かされ,当時の行政官,一般旅行者の手引書として尊重された。本書イスラム帝国内の宿駅のリストのほか,帝国外地域(中国朝鮮も)に関する貴重な描写を含む。後世への影響は大きく,原本は失われたが,多くの地理書に引用された部分が現在に伝えられている。
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山川 世界史小辞典 改訂新版 「イブンフルダーズベ」の解説

イブン・フルダーズベ
Ibn Khurradādhbih

?~912頃

イラン系ムスリム地理学者アッバース朝官僚であり,バグダード駅逓局(バリード)の長官を勤め,その記録と個人的な知識を利用して,『諸道と諸国の書』(Kitāb al-Masālik wa al-Mamālik)という地理書を著した。この書はイスラーム世界のほか,アナトリアや中央アジアの地理,および中国沿岸に至る海上交通路をも述べ,のちのムスリムの地理書の模範となった。

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百科事典マイペディア 「イブンフルダーズベ」の意味・わかりやすい解説

イブン・フルダーズベ

イラン系イスラム教徒で地理学者。その著《道里および諸国記》はイランのジバール,バグダッドなどの駅逓局長としての職務上の知識を織り込んだ地理書で,当時のイスラム帝国の各駅間の里程を細かく書き込んであり,海上の部では中国の四つの都市名と朝鮮のことも記されている。

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