イレズミアマダイ(読み)いれずみあまだい(その他表記)beautiful jawfish

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イレズミアマダイ」の意味・わかりやすい解説

イレズミアマダイ
いれずみあまだい / 刺青甘鯛
beautiful jawfish
[学] Opistognathus decorus

硬骨魚綱スズキ目アゴアマダイ科に属する海水魚。本種は南西諸島近海からとれているだけである。体はアゴアマダイ科の他種に比べてやや高く、体長の22.6~26.5%。頭部を除いて側扁(そくへん)する。頭は円筒形。吻(ふん)はきわめて短く、およそ眼径の半分。目はやや小さくて、眼径は体長の7.9~9.0%、頭の背縁と上顎骨(じょうがくこつ)にきわめて接近する。両眼間隔幅は広くて、体長の3.8~4.3%。口は非常に大きく、ほとんど水平に開く。下顎はわずかに上顎に含まれる。上顎の後端は目の後縁から眼径の1.2~1.5倍後方に伸びるが、前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の後縁には達しない。主上顎骨は後端でもっとも幅が広くて、丸い。上下両顎の外側に1列の犬歯が並び、後方に向かって小さくなる。上顎ではその内側の前端に3~4本の犬歯、その後方に2~4列の小さい歯が不規則に並ぶ。下顎では外列歯の内側の前半分に1~3列の歯が不規則に並ぶ。鋤骨(じょこつ)(頭蓋床の最前端にある骨)には歯がない。鰓耙(さいは)は上枝に13~15本と下枝に28~30本が並ぶ。鱗(うろこ)は小さく、縦列鱗(りん)数は56~67枚。頭部、項部(背びれ起部より前の後頭部)、側線上方とわずかに下方胸びれ基底の大部分に鱗がない。側線は鰓孔の上端付近から背びれ基底近くに沿って走り、第3番~第5番目の分節した軟条の下方に達する。側線孔は埋もれた側線管に沿ってまばらに開く。背びれは11棘(きょく)12軟条で、棘部と軟条部の間に欠刻(切れ込み)がない。背びれ棘は細長くて直線状で、柔軟性がある。臀(しり)びれは2棘11軟条。尾びれの後縁は丸い。色斑(しきはん)は変化に富むが、頭、体、各ひれは淡緑黄色で、腹面は白い。体側に5本の淡紫色の縦線があり、ところどころで破線状や波状になる。頭部に同色の瞳孔(どうこう)大の円形長方形のさまざまな斑紋が散在する。背びれと臀びれに2本の同色の縦線があり、縁辺に近いほうは破線状になる。最大体長は16センチメートルほどになる。水深100メートル以深の砂礫(されき)底にすみ、まれに釣れる。種小名decorusはラテン語の「美しい」に由来する。

[尼岡邦夫 2021年8月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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