イーグルス(読み)いーぐるす(英語表記)Eagles

日本大百科全書(ニッポニカ) 「イーグルス」の意味・わかりやすい解説

イーグルス
いーぐるす
Eagles

1970年代のアメリカのウェスト・コースト・ロックを代表するグループ。ドン・ヘンリーDon Henley(1947― 、ボーカルドラム)、グレン・フライGlenn Frey(1948―2016、ボーカル、ギター)、バーニー・リードンBernie Leadon(1947― 、ボーカル、ギター、バンジョー)、ランディー・マイズナーRandy Meisner(1946―2023、ベース)によって1971年に結成された。1960年代後半のバーズやバッファロー・スプリングスフィールド、グラム・パーソンズGram Parsons(1946―1973)、ポコ等のロサンゼルスのカントリー・ロックの流れをくむサウンドに、さわやかなハーモニーとポップさを加味したのが初期の作品の特徴であった。また、軽快なサウンドとは裏腹に、1960年代のカウンター・カルチャーが崩れてゆく、けっして楽観的ではいられなかった時代の精神をとらえていたことも、イーグルスが時代を象徴するグループになったことの大きな要因である。1972年、フライとジャクソン・ブラウンJackson Browne(1948― )が共作した「テイクイットイージー」が大ヒットし、グループは一気に軌道にのった。

 『ならず者』(1973)は西部開拓時代が舞台のコンセプト・アルバムで、フォーク・ソングやブルーグラス(ギターのほか、ウッド・ベース、フラット・マンドリン、バンジョー、フィドルなどのアンサンブルにハイ・トーンのボーカルがのる音楽)といったアメリカ音楽のルーツへの志向前面に出ており、アメリカのアコースティック・ロックの重要なアルバムの1枚にあげられる。次作『オン・ザ・ボーダー』(1974)から、ギタリスト、ドン・フェルダーDon Felder(1947― )が参加。従来のサウンドを引き継ぎつつ、よりポップで、かつハードなロック・サウンドも志向するようになる。同アルバムからはヒット・チャート1位になった「我が愛の至上」も生まれた。『呪われた夜』(1975)は前作の方向性がより明確になり、フォーク・ソング、ブルー・グラス志向が強かったリードンはこのアルバムを最後にバンドを脱退している。『呪われた夜』からはタイトル曲、「いつわりの瞳(ひとみ)」「テイク・イット・トゥー・ザ・リミット」の3曲が全米チャート・トップ5入りするヒットになり、グラミー賞を4部門で受賞した。

 リードンの穴を埋めることになったのは、アメリカ人でありながら、ブリティッシュ・ハード・ロック志向の強いジョー・ウォルシュJoe Walsh(1947― 、ボーカル、ギター)であった。ウォルシュの個性は、ウェスト・コーストのアコースティック・ロックの代表格イーグルスとは相いれないようにも思われたが、異なった個性がみごとに融合し、『ホテル・カリフォルニア』(1976)に結実することになる。ロック時代の終焉(しゅうえん)とデカダンスがつづられた同アルバムは大ヒットし、イーグルスは音楽的にも商業的にもピークを迎えた。バンドは1980年の『イーグルス・ライブ』を最後に解散するが1994年に再結成し、アルバム『ヘル・フリーゼズ・オーバー』を発表しツアーも行った。

[中山義雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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