ウィルヘルム1世(読み)ウィルヘルムいっせい(その他表記)Wilhelm I

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウィルヘルム1世」の意味・わかりやすい解説

ウィルヘルム1世
ウィルヘルムいっせい
Wilhelm I

[生]1797.3.22. ベルリン
[没]1888.3.9. ベルリン
プロシア王 (在位 1861~88) 。ドイツ帝国の初代皇帝 (在位 71~88) 。フリードリヒ・ウィルヘルム3世の子で,フリードリヒ・ウィルヘルム4世の弟。生粋のプロシア軍人として成長,保守的な政治的見解をもち,1848年のベルリン革命を鎮圧して,国民の反感を買い,一時ロンドンに逃れた。 49年バーデンの革命運動を弾圧。 58年病王の摂政,61年王位を継承し,プロシアによるドイツ統一を志した。 62年ビスマルクを登用してプロシア内外の政治を担当させ,軍事面では A.ローン,大モルトケらの人材を活用した。 64年シュレースウィヒ=ホルシュタイン問題を解決,66年プロシア=オーストリア戦争に勝利を収めて,北ドイツ連邦をつくり,70年普仏戦争に完勝,ドイツ帝国をつくり,その皇帝となった。その後の政治もビスマルクの指導によるが,彼自身は血縁上ロシアに近く,ビスマルクによる 79年のドイツ=オーストリア同盟には最初反対した。この間2度暗殺を企てられ,2度目 (78) には重傷を負った。

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改訂新版 世界大百科事典 「ウィルヘルム1世」の意味・わかりやすい解説

ウィルヘルム[1世]
Wilhelm I
生没年:1797-1888

プロイセン王。在位1861-88年,1871年以降ドイツ皇帝。プロイセン王フリードリヒ・ウィルヘルム3世の第2子であったが,嗣子のない兄王フリードリヒ・ウィルヘルム4世の皇太子となる。1848年三月革命では革命派の軍事的弾圧で名を馳せ,〈散弾王子〉と酷評される。61年プロイセン王となり,ビスマルク首相任命,軍備増強政策を推進,下院と衝突普墺戦争普仏戦争に勝利をおさめ,71年新生ドイツ帝国の最初の皇帝となる。国内政治は宰相ビスマルクと一致しつつも,ロシアとの緊密な友好を求め,ビスマルクの独墺同盟政策とは対立した。
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367日誕生日大事典 「ウィルヘルム1世」の解説

ウィルヘルム1世

生年月日:1797年3月22日
ドイツ帝国の初代皇帝(1871〜88),プロシア王(1861〜88)
1888年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のウィルヘルム1世の言及

【プロイセン】より

… これ以後,プロイセン公国は,ホーエンツォレルン家のもとに,同君連合のかたちで,歴代のブランデンブルク選帝侯の支配をうけるが,プロイセンに対するポーランドの宗主権はなおも存続した。ようやく〈大選帝侯〉フリードリヒ・ウィルヘルム(在位1640‐88)のとき,スウェーデン・ポーランド間の戦争(1655‐60)に乗じて,ブランデンブルクはポーランドからプロイセン公国における完全な主権を獲得し(1657),1660年のオリバOliva和約でこの主権はスウェーデン・ポーランド両国により承認された。 プロイセン公国でも,ブランデンブルクにおけると同様,16世紀以来ユンカー(地方貴族)の農奴制的な直営地経営(グーツヘルシャフト)が発展していた。…

【ホーエンツォレルン家】より

…そして1615年,プロイセン公家の断絶とともに,ブランデンブルクのホーエンツォレルン家がプロイセン公をも兼ねることとなる。40年にフリードリヒ・ウィルヘルムが登位するまで,ブランデンブルクは有能な君主に恵まれなかったが,かねてより展開されていた婚姻政策の結果,1614年にはライン下流域に,小さいながら商工業の進んだクレーベ公国とマルク伯領を獲得した。 フリードリヒ・ウィルヘルムが,ブランデンブルク・プロイセンの貴族(ユンカー)の政治権力を打ち破り,絶対主義への道を切り開いてのち,次の選帝侯フリードリヒ3世は,スペイン継承戦争で皇帝を支援する代償として,プロイセン王の称号を授けられ,フリードリヒ1世と称した。…

※「ウィルヘルム1世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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