ウェルハーベン(英語表記)Johan Sebastian Welhaven

改訂新版 世界大百科事典 「ウェルハーベン」の意味・わかりやすい解説

ウェルハーベン
Johan Sebastian Welhaven
生没年:1807-73

ノルウェー国民ロマン主義文学最大の詩人デンマークから分離(1814)後も,その文化伝統を重んじて過激派詩人ウェルゲラン対立。その妹で小説家カミラ・コレットが愛した相手としても有名。ソネット集《ノルウェーの黎明》(1834)は論争的内容で評判になったが,詩人の本領は《詩集》(1838),《新詩集》(1844),《詩50編》(1847)等の恋愛自然,民衆生活をうたった作品にある。大学で美学教授も務めた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウェルハーベン」の意味・わかりやすい解説

ウェルハーベン
Welhaven, Johan Sebastian Cammermeyer

[生]1807.12.22. ベルゲン
[没]1873.10.21. クリスチャニア(現オスロ)
ノルウェーの詩人。初め画家を志望したが,のち苦学して大学に入り,詩人を志した。繊細な芸術家で,ウェルゲランがデンマーク文化に決別してノルウェー独自の文化を築くべきだと主張したのに対し,デンマークをはじめとするすべての尊い文化との調和とその摂取を願って大論争をした。詩人としては美しい詩を書いたが,野性的なたくましさはウェルゲランに及ばなかった。またウェルゲランの妹カミッラ (のちの女流作家 C.コレット ) との不幸な恋愛で知られる。久しく大学教授をつとめたが,晩年は精神の変調をきたして不幸な生涯を閉じた。代表詩集は『ノルウェーの夜明け』 Norges Daemering (1834) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウェルハーベン」の意味・わかりやすい解説

ウェルハーベン
うぇるはーべん
Johan Sebastian Welhaven
(1807―1873)

ノルウェーの詩人。ウェルゲランとともにノルウェー独立期の指導的詩人。ウェルゲランよりも繊細な感情の持ち主であり、また彼のように性急にデンマーク文化と絶縁しようとはせず、そのよきものを生かしたうえで調和的な新文化を育てようとし、両者の間には熱烈な論争が繰り返された。その一方、論敵ウェルゲランの妹カミラ(後の作家カミラ・コレット)と愛し合ったが、これは悲恋に終わった。長らく大学教授をしたが、晩年は精神病に陥って不幸な生涯を閉じた。代表作は詩集『ノルウェーの曙(あけぼの)』(1834)など。後期叙情詩には深い内面性がある。

[山室 静]

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