生産された商品が消費者に渡るまでの仲介機能を担当する産業のこと。卸売業や小売業のほか、商品の物的な流れに携わる運輸業や倉庫業(とくに物的流通産業ともよぶ)がこれに含まれる。古く長い歴史をもつこの業界も、1960年代に入り、日本経済の高度化を背景にその近代化(流通合理化と物流革新)が志向され、旧来の零細性や非効率性の克服が「情報化」の進展とともに進行した。
メーカーの大型化により、卸売業者の流通チャンネル主導権は失われていった。一方、小売業界では、1985年(昭和60)には、商店数約163万店、一店当りの従業員数3.9人という零細過多な業界構造であったが、しだいに産業化された大規模小売業として、第二次世界大戦前からの百貨店に加えて、スーパーマーケット、チェーン・ストア、コンビニエンス・ストアなどが新しい流通主体として登場し、急成長をみせた。生協・農協スーパーの成長もあった。その後の経済の安定成長化のなかで、小売業界では、クレジットカードの導入による顧客の固定化、POS(販売時点管理)システムの活用による個性化・多様化する消費者ニーズの先取り(ハイキャッチ)、CATV(ケーブルテレビ)など高度情報技術の活用(ハイテク)、人間的な触れ合いや文化との接触(ハイタッチ)を求める購買行動への対応などが行われた。物的流通産業においても、流通センター、コンテナリゼーション、パレチゼーション(貨物をパレットとよばれる荷台に積み付けて、そのまま積込み、輸送などを行うこと。発送地から到着地まで同じパレットに載せ一貫して輸送・保管することを一貫パレチゼーションという)、自動化倉庫などの物流革新の諸手段による物流管理の合理化・省力化が急展開した。
2007年(平成19)の商業統計(経済産業省)では、小売業の事業所数113万7859、年間商品販売額134兆7054億円、就業者数806万2196人、卸売業の事業所数33万4799、年間商品販売額413兆5317億円、就業者数362万2852人、となっている。なお、2007年商業統計から、駅改札内事業所(いわゆる「駅ナカ」商業施設)と有料道路内事業所が調査対象に加わった。
[殿村晋一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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