改訂新版 世界大百科事典 「ウォートルス」の意味・わかりやすい解説
ウォートルス
Thomas James Wa(l)ters
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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イギリスの建築家、技師。幕末から明治初期の日本に洋風建築を持ち込んだ最初の一人として重要な存在であるが、その経歴の詳細は明らかにされていない。1865年(慶応1)以前に妻と弟のアルバートJohn Albert R. Waters(1846―1902/1903)とともに来日したことなどが伝えられるのみである。しかし開国期の日本で果たした功績は大きく、来日以来、砂糖、紡績、洋紙などの各種洋式工場、大阪造幣寮の建築群をはじめ、竹橋陣営、イギリス公使館の建設に従事した。さらには日本最初のれんが造りによる商店街として銀座赤れんが街を計画、れんが製造のためホフマン式輪窯(わがま)を小菅(こすげ)村(現、東京都葛飾(かつしか)区小菅)に築いた。
[村松貞次郎・藤原恵洋 2018年8月21日]
…鋳造機械は政商グラバーを介して香港より輸入,建設資材も多く外国に仰いだ。建築設計はウォートルス。遺構が一部,泉布観(旧応接所),桜宮公会堂玄関(旧鋳造所正面玄関)として現存する。…
…また,1872年の銀座から築地にかけての大火は,この建物の西欧化に加え,建物の不燃化を促進する契機となった。イギリスのT.J.ウォートルスやJ.コンドルらを中心とする建築技術者は,銀座や丸の内,さらには浅草に,赤煉瓦でつくられた洋風建築の町並みを建設していった。これらの2~3階建ての煉瓦造建築は91年におきた濃尾地震によりその耐震性が問題とされ,帯鉄や鉄筋によって補強されながらも大正の初期まで建設されていった。…
※「ウォートルス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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