ウミウソ(その他表記)Lutra felina; marine otter

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウミウソ」の意味・わかりやすい解説

ウミウソ
Lutra felina; marine otter

食肉目イタチ科カワウソ亜科カワウソ属。ウミカワウソミナミウミカワウソとも呼ばれる。頭胴長は 57~79cm。尾長は 30~36cm。体重は約 4kgである。毛色は濃い茶色で上毛の先は淡色下毛は茶色もしくはやや青みがかった灰色である。背部は後躯よりも濃く,下面の毛は明るい淡黄褐色を呈し,頬および顎から喉部にかけてはより色が薄い。四肢には発達した蹼 (みずかき) があり,裏面に毛が生える。趾 (あしゆび) の爪はがんじょうで,尾と足は体長に比して短い。鼻鏡の上縁はまっすぐであるかあるいは少し丸みを帯びる。乳頭数は4個。門歯上顎下顎に各6本,犬歯は上顎と下顎に各2本,前臼歯は上顎8本,下顎6本,臼歯は上顎2本,下顎4本である。魚類甲殻類,軟体動物を捕食する。交尾期は 12月~1月で,妊娠期間は 60~70日間。通常1産2仔。チリおよびペルーの沿岸と周辺の島々に分布する。アルゼンチンにも生息していたが絶滅した。チリ南部のチロエ島では毛皮を目的に捕獲される。絶滅危惧種。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウミウソ」の意味・わかりやすい解説

ウミウソ
うみうそ / 海獺
marine otter
[学] Lutra feline

哺乳(ほにゅう)綱食肉目イタチ科に属するカワウソ亜科の海獣。南アメリカのチリの多島沿岸に分布するが、生息数は少ない。海産の魚類のほか、エビカニイカタコなどを食べ、海に出ていることが多いが、繁殖行動陸上である。カワウソよりも小形で、体毛もカワウソより明るい茶褐色を帯びる。本種が海獣扱いにされたのは、1974年(昭和49)国際捕鯨委員会が、小形鯨類の生物学に関する集会を開いた際、毛皮海獣に関心をもつ科学者の間で、本種も海獣と考えるべきだとの意見に達したことによる。

[西脇昌治]

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