チロエ島(読み)チロエとう(英語表記)Isla de Chiloé

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チロエ島」の意味・わかりやすい解説

チロエ島
チロエとう
Isla de Chiloé

チリ南部西岸沖にある島。海岸山脈が沈降してできた島で,北はチャカオ海峡,東はコルコバド湾によって本土と隔てられ,西は太平洋に面する。南北約 180km,東西約 60km。面積約 8400km2偏西風帯にあって雨が多く,年降水量 5000mmに達し,世界最多雨地域の一つとなっている。古くからインディオが住んでいたが,1567年スペイン人が占領,1826年まで支配。独立戦争時にはスペイン側の最後の拠点となった。内陸部は密林に覆われ,開発が進んでいないが,沿岸部にはアンクドカストロをはじめとする町や集落があり,それらを結ぶ道路が通じている。主産業はジャガイモ穀物などの栽培とヒツジウシなどの飼育で,漁業林業も行なわれる。島内には 17~18世紀のイエズス会布教活動時に建設された木造教会があり,2000年世界遺産の文化遺産に登録された。人口6万 7821 (1982推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チロエ島」の意味・わかりやすい解説

チロエ島
ちろえとう
Isla de Chiloé

南アメリカ、チリ南部の群島地方の北端に位置する島。チリ海岸山脈の南方延長にあたり、幅2キロメートルほどのチャカオ海峡で本土と隔てられている。面積約9000平方キロメートル。島の西部山地には森林が残るが、東部の丘陵地では耕地が広く開かれ、小麦とジャガイモの栽培が盛んである。東部の海岸には、島の中心都市カストロCastro(人口3万9073。2002国勢調査速報値)をはじめ漁業集落も多い。北岸のアンクドAncudには、植民地時代に大陸南端回りで侵入してくる外国船を監視する要塞(ようさい)が置かれていた。また、当時イエズス会宣教師により建設された教会が残り、このうちの14の教会などを含む教会群が2000年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。イギリスおよび北ヨーロッパ系の住民が多い。

[松本栄次]

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