改訂新版 世界大百科事典 「ウラシマツツジ」の意味・わかりやすい解説
ウラシマツツジ
Arctostaphylos alpina(L.)Spreng.var.japonica(Nakai)Hultén
高山の荒地に生えるツツジ科の落葉性の小低木。葉は比較的大きく,裏面の網目模様が目立つので,裏縞ツツジの名がついた。茎は地上をはい,先に葉が群生する。葉は倒卵形で先は円く,長さ2~5cm,幅8~16mm,縁に細かな多数の鋸歯があり,質厚く,細脈は葉の表でへこみ,裏面で突出して目立ち,秋には美しく紅葉する。初夏,前年の枝先に短い総状花序を伸ばし,数個の花をつける。花冠はつぼ形で先は5裂し黄白色。子房は上位。果実は球形,液質で熟すと黒色になり,中に4~5個の小核がある。本州中部以北,北海道,サハリン,朝鮮半島北部,カムチャツカに分布する。
基本変種のA.alpina(L.)Spreng.(英名Alpine bearberry)は北半球の寒帯に分布し,葉や花が小さい。同属の別種ウワウルシ(一名クマコケモモ)A.uva-ursi(L.)Spreng.(英名bearberry)は北半球の周極地方に分布する常緑小低木で,葉に配糖体アルブチンarbutin,タンニンなどを含み,乾かした葉を防腐収れん薬や利尿薬として用いるし,茶の代用にしている所もある。この属のいくつかの種は,ヨーロッパやアメリカでロックガーデンや庭園に栽植される。
執筆者:山崎 敬+新田 あや
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報