ポリエーテル(その他表記)polyether

デジタル大辞泉 「ポリエーテル」の意味・読み・例文・類語

ポリエーテル(polyether)

エーテル結合(-C-O-C-)を主鎖にもつ鎖状高分子総称水溶性高分子として、界面活性剤乳化剤・粘結剤などに用いられる。また、耐油性・耐薬品性に優れたものが多い。

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改訂新版 世界大百科事典 「ポリエーテル」の意味・わかりやすい解説

ポリエーテル
polyether

分子内にエーテル結合-O-を含む高分子化合物の総称。したがって,ポリアセタールエポキシ樹脂もこの一種であるが,ポリエーテルと呼ばれることは少ない。通常ポリエーテルといえば,エチレンオキシド重合で得られるポリエチレングリコールポリエチレンオキシド),プロピレンオキシドの重合で得られるポリプロピレングリコール,テトラヒドロフランの重合で得られるポリテトラメチレングリコールなどを指す。

重合はアニオン重合またはカチオン重合で進行する。おもに界面活性剤やポリウレタンの原料として用いられている。成形品としては,3,3-ジ(クロロメチル)オキサシクロブタンの重合で得られるペントンPenton(アメリカのヘルクレス・パウダー社の商品名)が知られる。耐熱性,耐薬品性,強度が高い。

芳香族を含むポリエーテルもエンジニアリングプラスチックとしてよく知られている。最も有名なのはポリフェニレンオキシドPPO)である。耐熱性がよく(熱変形温度170℃),スチレンに配合して,変性PPOとして用いられる。

同様に耐熱性のよい,ポリエーテルスルホン(PES),ポリエーテルエーテルケトンPEEK)なども開発されている。



ポリスルホンも分子内にエーテル結合を有する高分子である。


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化学辞典 第2版 「ポリエーテル」の解説

ポリエーテル
ポリエーテル
polyether

主鎖にエーテル結合をもつポリマーの総称.代表的なものは,ホルムアルデヒドの重合により生成するポリ(オキシメチレン)

エチレンオキシドジオキサンなどの環状エーテル開環重合によるもの,

グリコールアセタールとの重縮合によるもの,

などがある.一般的に耐油性にすぐれており,高弾性を示すもの,フィルムとしてすぐれた性質をもつものなどがつくられている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポリエーテル」の意味・わかりやすい解説

ポリエーテル
ぽりえーてる
polyether

エーテル結合‐C‐O‐C‐を主鎖にもつ重合体の総称である。代表的なものにホルムアルデヒドの重合により生成するポリオキシメチレン(ポリアセタール構造をもつ)がある。そのほかに塩素化ポリエーテル(ペントンPenton、アメリカのハーキュラス・パウダー社の商品名)や、ポリエチレングリコール(ポリエチレンオキシド)やポリプロピレングリコールなどのようなグリコールの重縮合物がある。また、芳香族を含むポリエーテルも知られており、たとえば、ポリフェニレンオキシド(PPOと略称されるフェノキシ樹脂)や、ビスフェノールAとジフェニルスルホンから得られるポリスルホンなどがある。

 ペントンは溶融粘度が小さく成形が容易であり、そのほかの物性も優れ、とくに耐薬品性に富んでいる。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールは水に溶けやすく、しかも粘度が高いので、織物の糊(のり)付け剤、化粧品、練り歯みがき、軟膏(なんこう)基剤として用いられる。PPOは熱変形温度が170℃とよく、耐熱性プラスチックの代表的なものである。

[垣内 弘]

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