絵画、イラストレーションの表現や写真修整の特殊な技法。陰影、ぼかし、立体感の描写に用いる。空気圧縮機と、圧縮空気と絵の具を混ぜてそれを霧状に吹き付けるためのピースとよばれる万年筆型の器具を使う。ピース先端のノズル操作で、絵の具の吹き出し量を自由に調節することができ、淡い調子づけや、むらなく塗りたいときなどに効果を発揮する。筆による描写とはまた違った細密な表現が特徴。絵の具は、ポスターカラー、アクリル絵の具、インク、水彩絵の具などが目的に応じて使われるが、とくにアクリル絵の具の登場によって表現性がいっそう緻密(ちみつ)になり、1970年代には絵画の領域にも使用範囲が広がって、スーパーリアリズム様式の表現技法としてよく用いられてきた。90年代に入って、「フォトショップPhotoshop」など、コンピュータのグラフィックス用アプリケーション・ソフトによって同様の表現性が得られるようになり、エアブラシの用途は急激に減少した。
[今井良朗]
『トゥームズ・カーチス、クリストファー・ハント著、北村孝一訳『エアブラシ・ブック』(1981・マール社)』▽『マイケル・リーク著、森屋利夫訳『エアブラシの技法百科』(1994・グラフィック社)』
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