スーパーリアリズム(読み)すーぱーりありずむ(英語表記)superrealism

デジタル大辞泉 「スーパーリアリズム」の意味・読み・例文・類語

スーパーリアリズム(superrealism)

超写実主義。1960年代後半以降、米国中心に興った美術の一傾向。人物または都会の一光景写真実物と見まがうほど克明に表現するもの。ハイパーリアリズム

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精選版 日本国語大辞典 「スーパーリアリズム」の意味・読み・例文・類語

スーパー‐リアリズム

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] superrealism ) 一九六〇年代後半以後、米国を中心に興った美術の一傾向。対象を、実物と見まちがえるほど克明に描写するもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「スーパーリアリズム」の意味・わかりやすい解説

スーパーリアリズム
すーぱーりありずむ
superrealism

1970年前後からニューヨークを中心に進められた写実主義の傾向。極端に克明な描写からこの名が与えられ、またハイパーリアリズムhyperrealismともよばれる。ただし多くの場合、その極度な描写は直接実物に向けられるのではなくて、実物をそっくり写した写真をもう一度克明に描写するという手順を踏んでいる。もとより写真は没個性的に対象を写し取るのであるが、さらにそれを没個性的に再現することによって得られる透徹したイメージ、あるいは非情な映像がこの傾向の大きな特徴である。一方フォト・リアリズムphoto realismとよばれるのはこのためである。カメラの視覚がとらえる映像は実物とは別物の、一種虚構なのだが、すでに日常はこの虚構に包囲され、この種の新しい視覚を一面で現実とみなすに至っている。スーパーリアリズムはこの新しい視覚を作品化したものである。

 作家としては、都市風景をカメラ・アイさながらに徹底して均質にとらえるリチャード・エステス、正面からの肖像写真を拡大して描き続けるチャック・クローズChuck Close(1940―2021)らがあげられる。スーパーリアリズムのなかには、等身大の人物像をつくり、文字どおり日常を再現するドゥエイン・ハンソン、ジョン・デ・アンドレアJohn De Andrea(1941― )らの彫刻作品も含められる。

[高見堅志郎]

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改訂新版 世界大百科事典 「スーパーリアリズム」の意味・わかりやすい解説

スーパーリアリズム
Superrealism

極端な写実的描写によって日常卑近の光景を,ストップ・モーションのように表現しようとする絵画および彫刻のこと。〈超写実主義〉の意。ハイパーリアリズムHyperrealism,写真的写実主義Photorealismとも呼ばれる。1960年代末から70年代前半にかけて,おもにアメリカとイギリスで制作された。主要作家はクローズChuck Close(1940- ),モーリーMalcolm Morley(1931- ),ゴーイングズRalph Goings(1928- ),デービスJohn Davies(1946- ),デ・アンドレアJohn de Andrea(1941- ),ハンソンDuane Hanson(1925-96)ら。スーパーリアリズムは,細密描写,魔術的リアリズムなど時代を問わず存在してきた極端な写実主義の一つとみなすこともできる。しかし,これは決して自然主義ではなく,極度の写実表現を意図的に採用したもので,逆説的に写実主義の虚構性を露呈させている。
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百科事典マイペディア 「スーパーリアリズム」の意味・わかりやすい解説

スーパー・リアリズム

〈リアリズムを超えるリアリズム〉の意味で,ハイパーリアリズムHyperrealismともいわれる。1970年代に絵画の分野で盛んになった,写真的な〈本物らしさ〉を追求する傾向を指す。抽象表現に対するアンチテーゼという側面もあるが,根底にはミニマル・アートなどとも共通する傾向が見られる。三次元的なイリュージョンを操作しつつ,あくまでも二次元的に表現可能な視覚的なリアリティに留まり,対象となる事物ないしは人物の表層に隠された精神性や,表現する側の個性を一切捨象している点が特徴である。絵画ではチャック・クローズ〔1940-〕,リチャード・エステス〔1932-〕,また彫刻では,皮膚や毛など対象の細部にまで肉薄する表現で知られるドゥエイン・ハンソン〔1925-1996〕がいる。

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