日本大百科全書(ニッポニカ) 「エプソマイト」の意味・わかりやすい解説
エプソマイト
えぷそまいと
epsomite
地表や坑内に露出する岩石の表面に生成する、可溶性の含水マグネシウム硫酸塩鉱物。瀉利塩(しゃりえん)、エプソム塩ともいう。化学的には硫酸マグネシウムと同一。温泉・冷泉の生成物として、あるいは蒸発岩起源の生成物として産することもあるが、日本では前者の産状のものがほとんどである。ちなみに原産地イギリスのエプソンでは冷泉の水に産する。火星表面での存在が確実視されている。自形は正方形に近い上下非対称の庇(ひ)面が発達する短柱状であるが、天然ではまれ。室内では容易に生成される。天然のものは多く繊維状、毛髪状、羊毛状あるいは皮膜状をなすほか、集落様、腎臓(じんぞう)様あるいは鍾乳(しょうにゅう)石様の外観をなすこともある。可溶性。溶液は渋い味がする。命名は原産地にちなむ。
[加藤 昭 2016年1月19日]