エボナイト(読み)えぼないと(英語表記)ebonite

翻訳|ebonite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エボナイト」の意味・わかりやすい解説

エボナイト
えぼないと
ebonite

天然ゴムの生ゴム100に対して硫黄(いおう)30~40を加え、長時間加熱して得られる樹脂状物質。硬質ゴムともいう。外観がエボニーebony(黒檀(こくたん))に類似しているところから、エボナイトと命名された。加硫時に加える配合剤によって美しい光沢と色(褐色黒色)を示し、伸びが3%程度のプラスチックに近い固体である。80℃程度で柔らかくなるが流動性はなく、耐酸性、耐アルカリ性、電気絶縁性、機械加工性が優れている。19世紀後半から電気絶縁体やライニング材などに使われていた。その大部分は20世紀後半に類似の性能をもつ各種プラスチック・ゴムに置き換わった。万年筆の軸、ボウリングのボール、楽器などの用途が残っている。

[福田和吉]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エボナイト」の意味・わかりやすい解説

エボナイト
ebonite

天然ゴムなどの原料ゴムに多量の硫黄 (20%以上) を加え,長時間熱して (→加硫 ) ,合成樹脂状にした硬質のゴム製品強度,加工性,化学的安定性,絶縁性が良好で,軟質ゴムに比べ老化しにくい。軟化点は 60~100℃。電気機器,各種工業装置のライニング材などに利用される。

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