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明暗法 メイアンホウ

デジタル大辞泉の解説

めいあん‐ほう〔‐ハフ〕【明暗法】

絵画で、明と暗、光と影の対比や変化などがもたらす効果を用いて、立体感あるいは遠近感を表す方法。→キアロスクーロ

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世界大百科事典 第2版の解説

めいあんほう【明暗法】

自然主義的な絵画表現技法の一つ。暗部(陰影部)と明部のコントラストによって,物体の立体感と画面内の空間の雰囲気を描出する。イタリア語そのままにキアロスクーロchiaroscuro(〈明・暗〉または〈光・影〉の意)ともいう。 アルベルティは《絵画論》の中で,光(明)は白,影(暗)は黒で表され,もっともすぐれた画家は白と黒で現実感を出せると述べ,古代ギリシアのニキアスとゼウクシスをその創始者とした。ここから,今日に至るまでアカデミズムの中心思想の中に,明暗のみによる素描を絵画の骨格とする理論が残った。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

明暗法
めいあんほう

キアーロスクーロ」のページをご覧ください。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

明暗法
めいあんほう
chiaroscuro 英語 イタリア語
clair-obscureフランス語
Hell-dunkelドイツ語

美術用語。明るさと暗さを画面上に表す絵画技法の一種で、明と暗、光と影の対比・変化・均衡がもたらす効果を用いて、物体の立体感、画面における遠近感を表現する。また、光と影の対比や光源を画面に設定するなど、照明によって劇的効果を描き出すこともできる。これは、古代壁画、あるいはルネサンス期以降の写実的絵画において、事物、人物などの対象の浮彫り的効果を、明部から暗部への移調によって表現する手法として行われ、いわゆる肉づけ(モドレ)の手法と関連して、事物の写実的錯視を表すためにも、造形的な効果としても、とくに油彩画できわめて重視された。たとえば、ファン・アイク兄弟らの古典絵画では、硬筆の精細な線を用いてその粗密で明暗部を下書きし、その上に彩色する手法をとっているが、ルネサンスも熟すると、レオナルド・ダ・ビンチの明暗法といわれる単色(褐色)の濃淡であらかじめ下地を描き、その上に彩色するようになる。そしてべネチア派では、明部と暗部の対比で対象をとらえて、これを透明色と不透明色の対比に組み替えて、空間と造形感を表出している。
 明暗法を意味するイタリア語の「キアロスクーロ」は、版画用語としても用いられている(この場合フランス語ではカマイユcamaeuという)。これは、多色刷りの木版、リノリウム版画などの凸版において、ハイライトの部分を白抜きにして、明度の異なる版を重ね刷りし、対象の浮彫り的効果を強調する手法をいう。15世紀イタリアの版画家ウーゴ・ダ・カプリUgo da Capri(1480ころ―1520ころ)や、ニコロ・ビチェンティーノNicolo Vicentinoたちによって用いられ始めた手法で、版木の一枚は構図・事物を再現する正確なデッサンとし、他の版木は、構図や事物の正確な輪郭とは無関係に、事物や人物の浮彫り的効果を強調するための色版とするものである。たとえば、カプリの場合には、灰色の紙の上に黒でおおよそのデッサンを刷り、その上に、中間部と陰影の調子を示す白の版を重ねて、肖像画などの明暗、肉づけ、浮彫りの効果を表し、ラファエッロなどの画像の複製に用いている。
 さらに、キアロスクーロとカマイユの用語は、単色明暗画をさして用いられることがある。これは、ただ一色の絵の具の明暗だけで描いた絵または素描、あるいは色のついた紙に素描したものに白でハイライトを施した絵のことである。墨などによる単彩画(モノクロミーmonochromy)とほとんど同義語として用いられることが多いが、単彩画は明暗の諧調(かいちょう)がなくても、単色の絵の具だけで描かれていればよい点に相違がある。[中山公男]

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