日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユキウサギ」の意味・わかりやすい解説
ユキウサギ
ゆきうさぎ / 雪兎
arctic hare
[学] Lepus timidus
哺乳(ほにゅう)綱ウサギ目ウサギ科の動物。ユーラシア大陸北部に分布し、日本では北海道に1亜種エゾユキウサギ(一名エゾノウサギ)が生息する。頭胴長50~58センチメートル、尾長4.8~7.5センチメートル。夏毛は褐色であるが、冬には耳の先の黒色部を除き白化する。本州以南のノウサギより大形で尾が長い。歯式は
で合計28本。低地から高山までの草原から森林にすみ、地上性で地中の穴は掘らない。冬も通常は雪上で眠るが、ときに深さ2メートルに達する雪穴を掘ることがある。夜行性で、草本類、木の芽・枝・皮などを食べ、カラマツ、カバなどの植林木やリンゴなどの果樹に大害を与えることがある。不規則であるが数年おきに生息数の増減がみられる。妊娠期間約50日ののち1~3子を産む。新生子は毛が生えそろい開眼している。天敵はワシ、タカ類、キツネなどである。
[阿部 永]