ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オクンコフ」の意味・わかりやすい解説
オクンコフ
Okounkov, Andrei
ロシアの数学者。1995年モスクワ大学で博士号を取得。ロシア科学アカデミー,アメリカ合衆国のプリンストン高等研究所 IAS,シカゴ大学,カリフォルニア大学バークリー校を経て,2001年プリンストン大学教授に就任。2006年,スペインのマドリードで開催された国際数学者会議において,確率論,表現論(→表現),代数幾何学を結びつける業績によりフィールズ賞を受賞。原子核におけるエネルギーレベルなどの複雑な物理系はランダム行列を用いた数学のモデルによって記述されるが,物理学におけるランダム行列はランダムに選ばれた数列と統計的に類似の性質をもっている。オクンコフは,数列の確率論的挙動と,ランダム曲面の概念に基づく代数幾何学との共通の基盤を明らかにした。ランダム曲面は結晶が融解する様相を記述するモデルであり,結晶の辺が消滅していく際の形の変化を表す。それは,結晶は多くの小さなブロックからなっており,これらが取り除かれていくという考え方である。オクンコフは共同研究者であるアメリカの数学者リチャード・ケニヨンと,結晶の溶解に現れる二次元の図形が常に代数曲線によって表されることを示した。
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