確率論(読み)かくりつろん(英語表記)theory of probability

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

確率論
かくりつろん
theory of probability

不確定な偶然現象,すなわち起りうる可能性がいくつかあって,そのどれが起るか断言できない場合について,その「確からしさ」を研究する数学理論。1つの事象の起りうる可能性全体の集合を標本空間 S とし,S の元すなわち各可能性 ei ( i=1 ,2,…) 標本点,S の部分集合 A を事象ということにする。 S={ei} ( i=1 ,2,…) が与えられたとき各 ei の起る確率とは,各 ei に負でない実数 pi を対応させ,Σpi=1 であるようにしたときのこの p のことと定義し,pi=Pr(ei) と書く。また事象 A の確率とは,A に属する ei について起る確率の和のことで,これは Pr(A)=ΣPr(ei) で表わす。ただし,これは標本空間 S の標本点 ei が離散的になっている場合なので,さらに解析学と結合させるためには,これが連続的である場合を考えなければならない。このことから,確率論は,ある標本空間が与えられたとき,その上にどのような確率を定め,そこからどのような結果が得られるかを研究する学問ともいえる。確率論を数学として体系づける最も論理的な行き方は,直観的な要素の助けをかりずに,確率をある公理系を満たす量と考えた A.コルモゴロフの提唱による方法である。標本空間 (抽象的な元の集合) を SS の部分集合を事象と呼ぶとき,S のおのおのの事象 A に対して,次の公理を満足するような Pr(A) を対応させ,この Pr(A) を事象 A の確率と定義する。
(1) Pr(S)=1
(2) 0≦Pr(A)≦1
(3) AiAj=φ(ij) ならば
以上が確率の公理的定義である。

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世界大百科事典 第2版の解説

かくりつろん【確率論 probability theory】

偶然現象の起こる確率を数学的に取り扱い,その応用を考える数学の一分科。17世紀にフランスの数学者B.パスカル,P.フェルマーオランダのC.ホイヘンスなどがゲームに必要な確率の計算をしたり,平均値の概念を導入したりしたのが,確率を系統的に扱った最初といわれる。18世紀になって,独立な試行を何回も繰り返した(ベルヌーイ試行という)ときの大数の法則を認識したのがスイスの数学者ヤコブ・ベルヌーイ(1654‐1705)であった。

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大辞林 第三版の解説

かくりつろん【確率論】

確率の一般法則を論ずる数学の一部門。パスカルなどに始まり、数理統計学・誤差論など科学の方法として応用されている。

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世界大百科事典内の確率論の言及

【確率】より

…銅貨を投げて表が出たり裏が出たりするのは同じ程度に期待できるとか,明日は雨がほとんど降ることはなかろうなど,偶然に支配されて起こる事柄について,それが起こる可能性の大小を表す数値が確率である。そしてそのような現象を数学的に取り扱うのが確率論である。実際の具体的な現象では偶然に起こる事実に加えて他のいろいろな要因が関係してきて複雑になるので,理想化したモデルを想定して考えることが多い。…

【統計学】より

…また計量生物学と呼ばれるもののなかには,農業,医学,薬学,生態学などへの応用も含まれ,それぞれ独立した応用分野となりつつある。
【統計学の歴史】
 統計学の前身として,ふつう政治算術political arithmetic,国状論Staatenkunde,確率論の三つがあげられる。いずれも17世紀にそれぞれイギリス,ドイツ,フランスで生まれたものである。…

※「確率論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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