日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルダム鉱」の意味・わかりやすい解説
オルダム鉱
おるだむこう
oldhamite
硫化カルシウムの鉱物。隕石(いんせき)鉱物として長く知られていたが、1987年ロシア、チェリャビンスク炭田で石炭の燃焼産物中から発見された。自形の報告はない。隕石中では輝石(きせき)族鉱物の粒間を充填(じゅうてん)して産する。日本では産出の報告はない。
共存鉱物は、隕石中では頑火輝石(がんかきせき)、普通輝石、トロイリ鉱、ナイニンガー鉱niningerite(MgS)、オスボーン鉱osbornite(TiN)など。チェリャビンスク炭田では自然鉄、自然硫黄(いおう)、黄鉄鉱、菱(りょう)鉄鉱、トロイリ鉱、磁硫鉄鉱、蛍石(ほたるいし)、ペリクレース、バゼノフ石bazhenovite(Ca8[(OH)12|S2O3|S5]・20H2O)など。肉眼的観察から識別できる方法について言及している情報はない。命名はインド地質調査所の所長を務めたトーマス・オルダムThomas Oldham(1816―1878)にちなむ。
[加藤 昭 2016年1月19日]