日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルティース」の意味・わかりやすい解説
オルティース
おるてぃーす
David Americo Ortiz Arias
(1975― )
アメリカのプロ野球選手(左投左打)。大リーグ(メジャー・リーグ)のミネソタ・ツインズ、ボストン・レッドソックスの一塁手、指名代打(DH)としてプレー。パワフルで、しかも柔軟性を兼ね備える強打で、2004年のレッドソックス86年ぶりワールド・シリーズ優勝の立役者の一人。
11月18日、ドミニカ共和国のサント・ドミンゴで生まれる。1992年、ドラフト外でシアトル・マリナーズに入団。1993年はドミニカ共和国のサマー・リーグで61試合に出場、打率2割6分4厘、長打を35本放つなどパワーを証明。1994年はアリゾナ州のマイナー・リーグのルーキー級に配属されたが、53試合で46三振を喫して、プロの壁に突き当たる。1995年は19試合連続安打を放つなど、打率3割3分2厘をマーク。1996年はA級でオールスター・ゲームに選ばれる活躍をみせたが、同年8月にトレードでツインズに移籍。ふたたびA級から始まった1997年は開幕から11試合連続安打を打つなどで6月にはAA級に昇格。さらにシーズン終盤にはAAA級に上がり、10試合でホームラン4本を打ち、9月にはメジャーに抜擢(ばってき)され、15試合で打率3割2分7厘をマークする。だが、1998年、99年は手首を骨折するなどの故障もあり、メジャーに定着できなかった。ツインズで初めてフルシーズンを送ったのは打率2割8分2厘を記録した2000年。翌01年はスランプで打率2割3分4厘に落ち込んだが、02年はホームランも初の20本台に乗せる活躍で、地区優勝に貢献。しかし、シーズンオフに球団から契約を提示されずにFA(フリーエージェント)となり、レッドソックスへ入団。2003年はその素質が開花したシーズンとなり、打率2割8分8厘、ホームラン31本、打点101を記録。2004年は同僚のマニー・ラミレスと3、4番を打ち、打率3割1厘、ホームラン41本、打点139と大活躍。ニューヨーク・ヤンキースとのリーグチャンピオンシップ・シリーズではサヨナラホームランとサヨナラ安打を打ち、最優秀選手(MVP)に輝き、セントルイス・カージナルスを破って世界一に上り詰める原動力になる。2005年も成長を続け、148打点で初の打点王を獲得。2006年はチーム低迷の中でも気を吐き、野球殿堂入りした強打者ジミー・フォックスの球団記録を更新するホームラン54本を打って初のホームラン王に輝き、打点137をマークして2年連続の打点王を獲得、リーグの最優秀打者に贈られるハンク・アーロン賞を受賞した。
[出村義和]
2007年以降
2007年は149試合に出場し、打率3割3分2厘、ホームラン35本、打点117。111四球は2年連続リーグ最多、出塁率4割4分5厘は両リーグあわせてトップ。長打率も6割2分1厘と4年連続6割を超え、チームの地区優勝の原動力となった。プレーオフ、ワールド・シリーズでは全14試合に出場、46打数17安打で打率3割7分、ホームラン3本、10打点で、チームのワールド・シリーズ優勝に大きく貢献した。
2007年までの通算成績は、出場試合1192、安打1219、打率2割8分9厘、本塁打266、打点880。獲得したおもなタイトルは、本塁打王1回、打点王2回。
[編集部]