ユリ科の球根植物。観賞するため栽植される。原産地は小アジア,地中海沿岸地方,南アフリカなどで,約150種が知られている。通常は秋植え球根として扱われ,地中海付近のものは耐寒種で,南アフリカのものには半耐寒種が多い。葉は多肉質の披針形で根生し,普通5~8枚が地に接して広がり,中心より花茎を出し開花する。高性種は切花向きに,矮性(わいせい)種は花壇,鉢植えに利用される。花は白色が多く,花弁が厚く花もちが良い。おもな種としては,オーニソガラム・アラビクムO.arabicum L.(小アジア原産,花茎約50cm,5月に咲く花は乳白色で中心の子房は黒色,切花向き大球性),オオアマナO.umbellatum L.(英名star-of-Bethlehem,東部地中海沿岸地方原産,矮性で4~5月に咲く花は白色),オーニソガラム・ナルボネンセO.narbonense L.(東部地中海沿岸原産,草丈約40cm,切花向き,5月に咲く花は白色),オーニソガラム・シルソイデスO.thyrsoides Jacq.(南アフリカ原産,草丈約60cm,半耐寒性,切花向き,5月に咲く花は白色),オーニソガラム・カウダツムO.caudatum Art.(南アフリカ原産,緑白色花,耐寒力弱い),オーニソガラム・デュビウムO.dubium(南アフリカ原産,春植えで花は橙~黄色),オーニソガラム・サンデルシアエO.sandersiae Baker(高性,花は乳白色で子房は黒色)などがある。栽培は鉢に浅植えし,観葉植物と同じ扱いをする。植込み期は10~11月。間隔は球根の直径2~3倍。乾燥地で排水の良い肥沃土を好み,白絹病にとくに弱いので注意する。
執筆者:川畑 寅三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ユリ科(APG分類:キジカクシ科)の1属名。ヨーロッパ、アフリカ、西アジア原産の球根草で、約100種知られている。花は6花被片(かひへん)からなり、無葉の花茎に総状または散房花序をつける。花色は多くは白で、まれに黄色種もある。園芸的に優れた種類が花壇用や切り花用として栽培される。
[平城好明 2019年3月20日]
アラビカム(和名クロホシオオアマナ)O. arabicum L.は地中海沿岸原産で、50~60センチメートルの花茎に、純白の花を6~12個総状に開く。雌しべが大きく黒色で、花被との対照が美しい。植え付けは10月中旬から11月下旬で、花期は5月。夏に葉が枯れたら掘り上げる。ウンベラータム(英名スター・オブ・ベツレヘム、和名オオアマナ)O. umbellatum L.は地中海沿岸原産で、耐寒性のある矮性(わいせい)種。茎は高さ20~30センチメートル、花は白色で花弁の裏は緑色。花壇や鉢植えに適する。シルソイデスO. thyrsoides Jacq.は南アフリカ原産で、円錐(えんすい)花序に白色花を密につける。花もちがよいので切り花用に栽培する。
[平城好明 2019年3月20日]
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