ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カストレン」の意味・わかりやすい解説
カストレン
Castrén, Matthias Alexander
[没]1852.5.7. ヘルシンキ
フィンランドの言語学者,民族学者。ウラル語比較言語学の事実上の建設者。 1838年ヘルシンキ大学卒業。同年からロシア,スカンジナビアなどの調査を始めたが,特に 41~44,45~49年の2回にわたり西シベリアを実地調査し,サモイェード語派を中心にウラル語族,アルタイ諸語,古シベリア諸語に関する言語学的,民族学的資料を広範囲に収集した。 51年ヘルシンキ大学教授となったが,翌年死亡。 20ヵ国語の文法や辞典を編み,フィン=ウゴル語派,サモイェード語派,チュルク諸語,モンゴル語,ツングース語がウラル=アルタイ語族をなし,フィンランド人もこれらの言語の話し手もその原郷はアルタイサヤン高地にあると主張して,トゥラン運動の祖となった。著書は『オスチャーク語文法の研究』 Versuch einer ostjakischen Sprachlehre (1858) など多数。シベリア調査の遺稿は,『北方旅行踏査』 Nordische Reisen und Forschungen (12巻,53~58) として出版された。
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