兜造(読み)カブトヅクリ

デジタル大辞泉 「兜造」の意味・読み・例文・類語

かぶと‐づくり【×兜造(り)】

草葺くさぶ寄せ棟屋根の妻側下部を切り落とし、障子窓を設けた民家形式屋根裏を養蚕室とする。関東西部・山梨・長野福島山形新潟の各県にみられる。

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精選版 日本国語大辞典 「兜造」の意味・読み・例文・類語

かぶと‐づくり【兜造】

  1. 〘 名詞 〙 民家の造りの一つ。屋根の形が四注造りの両妻の下方を切り取った形で、兜のように見えるところからいわれる。山梨県に多い。

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百科事典マイペディア 「兜造」の意味・わかりやすい解説

兜造【かぶとづくり】

武蔵,北信濃,南甲斐などの寄棟(よせむね)造の農家にみられる形式。蚕室として用いる屋根裏の通気採光のため,部分の屋根を切り上げ,壁面に開口部を設けたもので,この切上げ破風の部分の形が兜に似ている。
→関連項目民家

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世界大百科事典(旧版)内の兜造の言及

【民家】より

…(11)甲州の民家 山梨県の塩山付近には切妻造茅葺きの農家が多く,養蚕農家では中央部の屋根を一段高くした独得の形式をもつ。(12)かぶと造 関東地方北部の養蚕農家では,屋根裏の採光のため軒先の一部を高く切り上げており,〈かぶと造〉と呼ばれる。(13)石置屋根 東日本の山間部の民家は,榑板(くれいた)で屋根を葺き,横木で押さえ,川原石を載せて動かないようにする。…

【屋根】より

民家では,地方によって屋根の形が異なり,呼び方も違う。平面L字形で寄棟造や入母屋造の茅葺きとした曲屋(まがりや)(岩手,茨城,千葉)あるいは中門造(秋田,山形,福島,新潟),こう配が強く棟の高い切妻造茅葺きとした合掌造(富山の五箇山,岐阜の庄川地方),寄棟造茅葺きの妻側の軒を切り上げたかぶと造(山形,福島,東京西部,山梨),平面正方形に近くこう配の緩い切妻造板葺きの本棟造(長野),寄棟造茅葺きの棟がコの字形となるくど造(佐賀)がある。なお神社の権現造や,民家で多くの飾り破風などをつけて複雑な形となった屋根を八ッ棟造と呼ぶこともある。…

※「兜造」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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