(読み)み

精選版 日本国語大辞典 「妻」の意味・読み・例文・類語

み【妻】

〘名〙 「め(妻)」に当たる、上代東国方言。
万葉(8C後)二〇・四三四三「我(わ)ろ旅は旅と思(おめ)ほど家(いひ)にして子持(め)ち痩(や)すらむわが美(ミ)(かな)しも」

さい【妻】

〘名〙 つま女房。特に、他人に向かって自分の妻をさしていう語。家内
※宇津保(970‐999頃)春日詣さいなども、いづれをか率てものすらん」
浮世草子・好色盛衰記(1688)四「惣じて女良をひきぬき。妻(サイ)のごとく宿に置て」 〔詩経‐豳風〕

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デジタル大辞泉 「妻」の意味・読み・例文・類語

つま【妻】

《「つま」と同語源》
配偶者である女性。「をめとる」「糟糠そうこう」⇔

刺身吸い物のあしらいに用いる野菜海藻。つまもの。「刺身の
㋑主となるものに添えるもの。「話のにされる」
[補説]書名別項。→
[類語](1細君家内女房かみさんワイフかかあ山の神さいベターハーフうちの奴・うちの者・押し掛け女房姉さん女房世話女房恋女房思い妻糟糠の妻愛妻良妻賢妻悪妻

さい【妻】

つま。他人に対して自分のつまをいう語。家内。
「今―もはばかりへ行きたいと云うものだから」〈芥川将軍
[類語]細君つま家内女房かみさんワイフかかあ山の神ベターハーフ押し掛け女房姉さん女房世話女房恋女房思い妻糟糠の妻愛妻良妻賢妻悪妻

さい【妻】[漢字項目]

[音]サイ(呉) [訓]つま
学習漢字]5年
サイ〉夫の配偶者。つま。「妻子愛妻恐妻愚妻後妻ごさい正妻夫妻亡妻
〈つま(づま)〉「新妻にいづま人妻
難読後妻うわなり

つま【妻】[書名]

北原武夫小説。昭和13年(1938)発表。同棲中に死んだ妻をめぐる新心理主義風の作品

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改訂新版 世界大百科事典 「妻」の意味・わかりやすい解説

妻 (つま)

現在では,一般に男性の配偶者である女性を妻というが,かつては,〈つま〉という呼名は,男であれ,女であれ,結婚の相手や恋人を指していた。たとえば,《伊勢物語》に,男に草むらの中に隠された女が〈武蔵野は今日はな焼きそ若草のつまもこもれり我もこもれり〉と詠んだとあるのは,〈つま〉が男性を指している例である。以下では,日本における婚姻関係にある女性について記述する。

古代における妻の他の時代と異なる大きな特徴は,夫とは別に自己の特有の財産を所有し,かつそれを自分の意志で自由に処分,運営できた点であった。女性による土地の売却や買集めを示す当時の文書がそのことを有力に物語る。そして,このような自己の所有を基礎とする当時の妻の地位は夫と対等で,妻は夫と同等に農業経営にかかわり,みずからの意志で離婚でき,娘の婚姻の決定にも夫より強く関与していた。なお当時の婚姻はいまだ単婚以前の段階で,男にとって妻は必ずしも1人ではなかったが,これら複数の妻たちの間には妻妾の別が未成立であった。ただし五位以上の官人は嫡子決定の必要上,形式的に嫡妻を治部省に登録させられた。対等であった妻の地位も10世紀初めころを境にまず支配層から低下していった。
執筆者:

《御成敗式目》の11条には,妻がその里方から相伝した所領について,次のような規定が見えていた。すなわち,その夫になんらかの罪科があって所領の没収を受けるとき,妻妾の所領も同様な扱いを受けるかどうかという問題について,もし夫の起こした犯罪が,〈謀叛殺害幷山賊海賊夜討強盗等〉の重科であるときには,夫と同罪に扱われるが,夫の犯罪が軽罪のときには,妻の所領は没収されることはない,というのであった。とするならば,この規定から,妻の所領が夫からある程度独立した存在であったことが知られるであろう。事実その当時,妻の所領は,その大半がその里方一族の惣領の統制下にあったのであり,夫の支配からは一定程度自立した存在としてあったのである。このことは,妻の身柄そのものに関しても同様で,妻はつねに里方惣領の強い統制下にある存在だった。

 鎌倉時代は,後世に比べて夫に対する妻の立場が比較的強かったといわれているが,これは,まったくこのように里方一族の権威,実力を背景としての事柄であったといわねばならない。こうしたことは,子どもに対する親としての教令権についても同じであった。つまり《御成敗式目》の18条が,〈男女の号異なりといえども,父母の恩惟(これ)同じ〉と記したように,当時においては,子どもに対して親権(教令権)を行使しうる立場にあったのは,父と母との両名だった。これは,きわめて平凡なことのように思えるかもしれないが,中世後期から江戸時代になると,親権といえば父の権限のことに限られるようになるから,それと比較するとき,鎌倉時代における上記の事実は,やはりこの時代の特色を示すものとして,はっきり確認されなければならない。これは,妻がその里方から伝領した所領を夫とは別に持っていた事実とともに,その所領を子どもに対して独自に処分しうる権限を持っていたことに基づいていたといわねばならない。中世前期の女性の中に,たとえば北条政子のように,夫の没後,夫に代わる強い権限を行使する人物が存在していたことも,まったくこうした里方所領に対する権限によって裏づけられていたとみてよい。しかも,この時代は同母兄弟姉妹の結合力は想像以上に強力であったから,妻が上記のような社会的活動を行ううえで,その里方の兄弟姉妹の強い援助のあったことにも,注意しておく必要がある。

 だが,こうした妻の自立的立場も,室町時代以降になると低下し始める。それは,女子の所領相続権がこのころになるとしだいに廃され,その結果,妻がその子どもたちに所領を処分するという物質的権威を背景に,〈母〉として臨む資格を喪失していったからにほかならなかった。こうして,戦国時代に作成された《世鏡抄》が記したように,妻は夫の子ども(後継者)を生むための道具としてしか観念されなくなっていくわけである。
執筆者:

近世大名は妻を公家から迎えることもあったが,相応の大名家と縁組することが多く,同じ家と何度も婚姻関係を結ぶことすらあった。両家の同意のうえ,幕府旗本の先手頭をおもに仲介として将軍の許可を得て結婚するが,むろん離婚することも可能であった。妻は実家の家臣や女中を連れてくることが多く,婚家より付属される家臣をも合わせて統率し,奥の総取締の役目を持つので身分は高い。夫の所領を相続することはできないが,妻の生んだ第1男子は家督相続の権利を優先的に有し,さらに庶子の嫡母としてそれらの養育に当たる必要があった。幕府は大名の体面上一度は妻を迎えるよう,1763年(宝暦13)6月布達を出しているので,江戸中期にはめとらない大名が存在したようである。一方,江戸時代前半期にはときどきみられるところの後妻を側妾から昇格させることは,1724年(享保9)7月忌服(きぶく)の問題が煩雑になることを理由に制限を加え,ついで33年4月には昇格を禁止した。
執筆者:

妻は嫁とは異なる社会的地位と役割を持つ存在である。嫁入婚(よめいりこん)にせよ,また婿入婚(むこいりこん)にせよ,最終的には女性が生家を離れて男側の家族(婚家)の家族員となることが支配的であった状況においては,婚入する女性はヨメ(嫁)として位置づけられた。嫁は夫の両親,とくに夫の父親からみた地位呼称であり,夫からみた呼称ではなかった。このことから明らかなように,嫁は親子関係をとりわけ強調ないし尊重する型の家族における婚入女性に対する呼称であって,文字どおり婚家の家の女になった女性のことであった。たとえば,〈里帰り〉とは嫁を一定期間里に帰すことであって,妻を帰すことではなかった。嫁が親子関係を中心とする家族においてしばしば使われたのとは対照的に,妻は夫婦関係が強調される家族における夫の配偶者を指示する呼称である。婚姻形態において嫁入婚,婿入婚のいずれでもない新居住婚(夫妻とも生家を離れて第三の場所に婚舎を設定する婚姻)の増大によって,嫁から妻へ婚入女性の呼称に変化がみられたとみることができる。嫁は直ちに主婦ではなかったが,妻は婚姻と同時に主婦であり,嫁よりも格段に高い地位を結婚と同時に獲得することとなった。この場合,妻の役割は夫に対する性的・情緒的役割と子どもに対する教育的役割が中心であり,この点においても夫の両親に対する役割が主として強調された嫁の役割とは大きく異なっている。
主婦 →
執筆者:

法律上は婚姻関係にある女性をいう。ふつうは婚姻届をした正式な妻だけをいう。ただし内縁の妻という用いられ方もする。

妻は入夫婚姻の場合を除いて,婚姻により夫側の〈家〉に入り,その氏を名のった。民法上は,独立主体者として契約をするなど他者と法律関係を結ぶ行為能力を認められなかった(民法旧規定14条)。婚姻中,夫は結婚生活に要する費用を負担しなければならず,また妻を同居させなければならなかったが,同居する義務は妻のみが負った(旧789条)。妻の固有財産は夫によって管理処分されることとなっており,妻の財産的地位は弱かった(旧799条以下)。離婚原因においても夫の不貞は姦通罪として処罰されなければ離婚原因にならなかったが,妻の不貞は直ちに離婚原因に該当し(旧813条),刑法上も夫は妻の姦通を告訴できたが妻には告訴権はなかった(刑法183条)。また,夫が庶子をつくり認知して夫の〈家〉へ入籍する場合,妻は同意権を持たず嫡母庶子関係を設定されることになっていた(旧728条)。さらに本来自由意思によるはずの協議離婚においても,夫側の追出しがみられることも多かった。妻のこのような地位は,夫唱婦随が説かれ,従順,温和,貞淑,忍耐,奉公などみずからの分をわきまえ自己主張をしないことが婦徳として強調された社会の反映であり,妻は〈家〉を継ぐ嫡男を生み,家事を滞りなくこなし,農家などでは生産労働に従事し,さらには兵士を生み育てる母,嫁としてのみ社会的存在意義を認められていた。そして家の和という名のもとに,主として妻が忍耐を強いられることが疑われなかった。妻に対するこうした状況は妻の価値観にも影響し,〈おとなしい嫁が鬼の姑(しゆうとめ)になる〉事態を再生産していった。しかし,すでに大正期の臨時法制審議会では離婚原因の夫婦平等化が論議され,1927年(昭和2)には,裁判所も夫婦は互いに誠実であるべきという判断から,夫にも守操の義務を認めるなど妻の人格を保護する解釈をとるようになっていた。

憲法24条,14条が家庭生活における男女平等と個人の尊厳を規定し,妻が家庭の内外で一個の独立した人格を有する者として扱われるよう明記したことにより,民法,刑法における妻の不平等な規定の多くは修正もしくは廃止された。しかし婚姻適齢の違い(民法731条),再婚禁止期間規定(733条)が残されたほか,国籍法上の帰化要件の差異(国籍法5条,6条)などが依然としてみられた(1985改正)。そして社会保険制度においても子を被扶養者にする場合,妻に先立って夫が扶養者となるような扱いもされており,こうした実状は妻が社会的に個人として独立した地位を与えられていないことを示している。さらに家事労働に専念する妻は自動車免許証などを持たないと,日常生活のうえで自己の身元を公に証明することは容易でなく,社会的身分を有する夫を介してのみ社会とかかわっていかざるをえない。一方,共働きの妻は生産労働に従事すると同時に,もっぱら家事労働も負担しなければならないのが現状である。夫が家事に協力する傾向は徐々にみられるとはいえ,夫の就労状況や成人するまでに受けた教育の実態から,家事,育児を妻と等しく分け合うにはいたらず,妻は二重の負担を強いられているといえよう。そして,〈家庭を守れ〉という主張のもとに妻は家事,育児に専念するよう強調されるとともに,就労上,男性と不合理な差別をされるだけでなく,臨時雇いの安価な労働力として労働市場に位置づけられている。こうした状況に加えて,仕事も遊びも男中心の社会は孤独で夫と心の通い合えない妻を生み,中高年層の離婚数増加の背景となっている。しかし,近年,夫の非協力,無理解など多くの制約の中で,妻は一個人として地域の文化活動への参加,消費者運動,ボランティア事業への関与をしながら個人,家族,社会の関係に目を向け人間として豊かな人生を送ることの意味を求め始めている。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「妻」の意味・わかりやすい解説


つま

宮崎県中部,西都市の中心市街地。宮崎平野西部の洪積台地にある。旧町名。 1955年上穂北村と合体して西都町となり,58年から西都市の一部。古代から中世にかけて日向国の中心地。特別史跡の西都原古墳群やコノハナノサクヤヒメ (木花開耶姫) を祀る都万神社などがある。

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「妻」の解説

つま【妻】

宮崎の芋焼酎。酒名は、蔵元が妻を思いやり命名。出身校の妻高校にちなむともいわれる。無農薬米で作った米麹を使用した限定品。原料はさつま芋、米麹。アルコール度数39%。蔵元の「岩倉酒造場」は明治23年(1890)創業。所在地は西都市大字下三財。

出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報

デジタル大辞泉プラス 「妻」の解説

1953年公開の日本映画。監督:成瀬巳喜男、原作:林芙美子、脚色:井手俊郎、撮影:玉井正夫。出演:上原謙、高峰三枝子、丹阿弥谷津子、伊豆肇、中北千枝子、高杉早苗、三國連太郎ほか。第8回毎日映画コンクール男優主演賞(上原謙)受賞。

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「妻」の解説

つま【妻】

刺身の添え物に、また吸い物で椀種のあしらいに用いる野菜や海藻など。

出典 講談社和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【婚姻】より

…婚姻とは,社会的に承認された夫と妻の結合であり,この〈夫〉と〈妻〉の資格,役割については,それぞれの社会において独自の意味づけがなされている。この意味づけはときとしてひじょうにかけ離れているので,上記の広い定義にもう少し具体性をもたせようとすると,その定義からはずれてしまう事例が出てくる。…

【嫁】より

…日本社会で,一般に息子の妻をさして使われる語。自己の妻,あるいは新妻をさす場合もある。…

【離婚】より

…日本では,他のアジア諸国と同じように,宗教や公権力によって離婚が規制されることはなかったので,かなり古くから,離婚は自由にされていた。ただし,夫側からの離婚のみであって妻側には離婚の自由がなく,妻の離婚請求権を初めて認めた1873年5月15日太政官布告も,父兄弟の付添いを条件とし,夫妻双方の離婚請求権を認めた明治31年民法も不平等な離婚原因を残していた。夫婦平等の離婚制度が出現したのは,ようやく1948年施行の現行民法に至ってである。…

※「妻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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