改訂新版 世界大百科事典 「カミヤツデ」の意味・わかりやすい解説
カミヤツデ
rice-paper plant
Tetrapanax papyriferum(Hook.)K.Koch
中国南部に野生し,日本では暖地に観賞用に栽培されるウコギ科の低木。漢名の通脱木のよみから,ツウダツボクともいう。ヤツデのように地下茎から数本の茎が集まって立ち上がり,高さ2~6m位になるが,日本では多くは寒さのため,冬に地上部は枯れる。茎はあまり分枝せず,葉は茎の上部に集まってつき,一見ヤツデに似て掌状に分裂し,裏面には淡褐色の毛がある。花は小さく帯黄白色で4弁があり,古い茎の先に散形花序を総状につけた大きい花序を作って,晩秋の頃に開く。若い茎には太い髄があり,幹を30cm余りに切ってこの髄をとる。この髄は通草紙(つうそうし)Chinese rice-paperとして知られ,造花の材料に用いられた。今日ではプラスチック製品におされて,あまり用いられなくなった。
カミヤツデ属Tetrapanaxは中国に1種だけが知られている。
執筆者:村田 源
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報