カラコギカエデ(読み)からこぎかえで

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラコギカエデ」の意味・わかりやすい解説

カラコギカエデ
からこぎかえで
[学] Acer ginnala Maxim. var. aidzuense (Fr.) Pax

カエデ科(APG分類:ムクロジ科)の落葉低木ないし小高木。葉は対生し、葉身は3浅裂ないし中裂または無裂、縁に不規則な粗い鋸歯(きょし)がある。北海道、本州、四国、九州山中湿地に分布する。基本種のチョウセンカラコギカエデは朝鮮から中国東北部に分布し、葉はタンニンに富むので、鉄媒染で木綿を灰黒色に染めるのに用いる。「カラコギ」は「鹿の子木(かのこぎ)」の転訛(てんか)で、鹿の子状の樹皮を形容したもの。

緒方 健 2020年9月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カラコギカエデ」の意味・わかりやすい解説

カラコギカエデ(唐子木楓)
カラコギカエデ
Acer aizense

カエデ科の落葉小高木。一名ヤチイタヤ。山地の湿りけのある土地 (谷地) に自生する。北海道から九州まで分布する。高さ数m,葉は対生し,卵形で鋭尖頭,葉縁に不規則な切れ込みがあり,重鋸歯をもっている。表面は無毛であるが,裏面では葉脈にそって淡褐色の毛が密生している。花は黄緑色の5弁花で,5~6月頃,枝の先端に総状につく。翅果は長さ 3.5cm,2つの翅は狭い角度をなし,ほとんど平行にみえる。

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世界大百科事典(旧版)内のカラコギカエデの言及

【カエデ(楓)】より

…園芸品種も多い。 以上のほかに日本には3出複葉をもつミツデカエデA.cissifolium (Sieb.et Zucc.) K.Koch(本州,四国,九州に分布)およびメグスリノキA.nikoense Maxim.(同),早春の花が美しいオニモミジA.diabolicum Bl.ex K.Koch(同),葉がアサの葉に似たアサノハカエデA.argutum Maxim.(本州,四国),山中の湿地によくみられるカラコギカエデA.aidzuense (Franch.) Nakai(北海道~九州)などがある。 カエデ属Acerは北半球の温帯を中心に約160種が分布し,街路樹や庭園樹として賞用されるほか,大木になるものには有用材を産出するものも多い。…

※「カラコギカエデ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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