カナダの小説家。アイルランド系。大学で法律を修めたが、在学中に地元紙の記者を勤め、結局作家としての道を歩むことになった。処女作『不思議な逃亡者』(1928)以来、『これぞわが愛する者』(1935)、『彼ら地を受けつがん』(1935)、『より大きな喜びが天に』(1937)、『愛と喪失』(1951)、『いろどれる衣』(1960)などの一連の長編小説で、人間倫理の問題を執拗(しつよう)にキリスト教的文脈のなかで追求した。カナダの作家では、もっとも倫理的志向が強く、また技法的にももっとも腕の確かな作家の一人であった。短編作家としても優れ、『モーリー・カラハン短編集』(1959)がある。ヘミングウェイをはじめ「失われた世代(ロスト・ジェネレーション)」の作家たちと交遊があり、『パリのあの夏』(1963)で1928年当時のパリを描いた。晩年の作に、イエスに対するユダの裏切りに材を取った『ユダの時』(1983)と、60年代のパリを主舞台に、ある老思想家の回心の顛末(てんまつ)を描いた『無鉄砲老人の道行き』(1988)がある。
[平野敬一]
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