ツツジ科カルミア属Kalmiaの低木常緑樹。原産地では3mを超す球状の大低木になる。北アメリカからキューバにかけて8種が区別され,花がきれいで観賞用に栽植されているが,日本でカルミアと呼ばれているのは,アメリカシャクナゲK.latifolia L.(英名mountain lourel)である。大正年間に日本に渡った。この種は常緑で互生または不規則に輪生する葉を有し,5~6月,枝の先に花房をつくって開花する。つぼみは金平糖のような形をしており,開花すると皿形となり,花冠裂片は5枚ある。花色は紅色から白色に近い淡紅色で,花冠の内側に紫赤色の斑紋がある。園芸品種が数種あるが,現在,日本で最も流通しているのはオストボレッドNo.5である。日本の気候によく順応し,半日陰のところに適する。苗を植えるときは,土をふるって浅く植える。繁殖はふつうは実生によるが,園芸品種は挿木で行う。アセビのように葉に有毒成分アンドロメドトキシンandromedotoxinがあり,動物は食べない。また材は堅く美しいので,細工物やパイプ(根の材を使用)を作るのに用いられる。
執筆者:脇坂 誠
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ツツジ科(APG分類:ツツジ科)の常緑低木または小高木。葉は互生し、長楕円(ちょうだえん)形ないし楕円状披針形、長さ5~10センチメートルで両端がとがり、縁(へり)に鋸歯(きょし)がない。葉は厚い革質でシャクナゲの葉に似ており、アメリカシャクナゲといわれる。5月ごろ、枝頂に大きな散房花序をつけ、絵日傘のような杯(さかずき)状をした径1.5~2センチメートルの淡白紅色の花を開くので、ハナガサシャクナゲともよばれる。花冠は浅く5裂して内面に紫斑(しはん)があり、雄しべは10本ある。果実は粘毛のある小球形の蒴果(さくか)で、多数の種子がある。北アメリカ東部原産で、半日陰でも日当りのよい場所でも育つが、適湿な肥沃(ひよく)地を好むので乾燥地は避け、庭木、鉢植えにする。繁殖は実生(みしょう)、取木、接木(つぎき)による。園芸品種に花の外側が赤く内側が淡紅色のオスボレッド、近年現れた花が濃桃色のクレメンタイン・チャーチルなどがある。カルミア属には7種あり、日本ではこのほかナガバカルミア(ホソバカルミア)K. angustifolia L.がまれに栽培される。
[小林義雄 2021年4月16日]
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