カンダハール(読み)かんだはーる(英語表記)Kandahar

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンダハール」の意味・わかりやすい解説

カンダハール
かんだはーる
Kandahar

アフガニスタン南東部、カンダハール州の州都。人口約32万9300(2001推計)で、首都カブールに次ぐ同国第二の都市である。住民はアフガン人とタジク人が半々で、アフガニスタンでパシュトー語が共通語になっている唯一の都市である。市内の道路は直線的で広い。高速道路がカブール、ヘラートパキスタンクエッタに通じ、国際空港もある。商業が盛んで、毛織物、果物缶詰の工場がある。町の起源はアレクサンドロス大王がこの地にアラコジアという町を建設したことに始まり、18世紀中期にはドゥッラーニー朝の首都であった。ムハンマドマホメット)が着ていたといわれるシャツを祀(まつ)ったモスクであるヘルカイ・シャリフ・ジアーラト、岩窟(がんくつ)の望楼チヒル・ジーナ、1709年にサファビー朝に反乱を起こしたギルザイ系アフガン人ミール・ワイスと、1747年にここで即位したアフガニスタン建国者アフマド・シャーの墓廟(ぼびょう)などがある。1880年にアフガン軍がイギリス軍を撃破した古戦場マイワンドは、北西数十キロメートルにある。

[勝藤 猛]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カンダハール」の意味・わかりやすい解説

カンダハール
Qandahār

アフガニスタン南部,同名州の州都。ヘルマンド川の支流タルナク川,アルガンダーブ川間の高原上,標高 1000mに位置する。首都カブールからの幹線道路と,ヘラートからクウェッタ (パキスタン) 間のハイウェーの交点にあり,空港はイランテヘランと中東諸国を結ぶ航空路の中継点で,同国第2の主要な商業交易都市であり,バザールは世界中の物資を取扱うほど大規模である。周辺の広い灌漑農地の農産物,畜産物を集散し,パキスタンなどへ輸出される。市内には食品加工,織物などの工業がある。新市街の東隣の旧市街はアフマッドシャー・ドゥラーニーの建設したもので,同国最初の首都とされ,その陵墓がある。第1次および第2次アフガン戦争中はイギリス軍に占領された。なお,1738年にイランのナーディル・シャーによって攻略された古都カンダハールが付近にある。人口 22万 5500 (1988推計) 。

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