今日ではさまざまな意味で用いられるが、もとはイスラム文化圏特有の市場(いちば)をさすことばであった。アラビア語ではスークsūqという。屋根のある狭い通りの両側に商店や職人の工房が並ぶ百貨市場である。モスクの近くに所在し、イスラム教布教のための宗教活動との関係が深いものであった。普通、同一業種で一つのバザールをつくるが、パン屋、肉屋、飲み物屋などはどのバザールにも店を開くことができた。このような伝統的なバザールはしだいに姿を消しつつある。この語がヨーロッパに移って、種々の品を扱う店、百貨店、商店街と意味が広がった。バザールが転じた英語のバザーbazar, bazaarは、前述のような本来の意味のほか、雑貨市、百貨店の特売場、慈善市などをさす。日本語のバザーは慈善市をさすことが多かったが、慈善の意味はしだいに薄れ、社会・公共事業団体、学校、地域住民組織などが品物を持ち寄って即売し、収益をそれらの運営資金にする行事をさすことが多くなった。日本での起源は、1884年(明治17)鹿鳴館(ろくめいかん)で行われた婦人慈善会であるとされている。
[森本三男]
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…【藤井 せい子】
【イスラム社会】
イスラム世界において市はバーザールbāzārという名称で一般に呼ばれている。この語はペルシア語で,日本では慣用でバザールといい,アラビア語のスークsūqに相当する。 バーザールやスークは,定期市,常設店舗の連なる市場の双方を指すが,歴史的には定期市のほうが早く知られている。…
※「バザール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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