キタサンショウウオ(読み)きたさんしょううお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キタサンショウウオ」の意味・わかりやすい解説

キタサンショウウオ
きたさんしょううお / 北山椒魚
[学] Salamandrella keyserlingii

両生綱有尾目サンショウウオ科のサンショウウオ。ウラル山脈からカムチャツカ半島千島列島樺太(からふと)(サハリン)にかけて広く分布し、日本では北海道釧路湿原(くしろしつげん)にのみ生息する。日本産有尾類のうち国外にも分布する唯一の種である。背面は褐色で中央に幅の広い黄色の縦条が走り、その外側は黒く縁どられる。腹面は淡色で小暗斑(はん)が散在する。後肢の指は4本。全長8~12センチメートル。4、5月に湿原の冷水中で産卵し、螺旋(らせん)状に巻いた1対の卵嚢(らんのう)を水草の茎などに産み付ける。卵数140個内外、卵径約2ミリメートル。ほぼ1か月で孵化(ふか)し幼生は秋に変態する。成体は産卵場所の周囲の草むらや林の中の地面で生活し、地上性の昆虫やクモミミズなどを捕食する。

[倉本 満]

 2022年(令和4)、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)で特定第二種国内希少野生動植物種に指定され、販売や頒布を目的とした捕獲や譲渡などは原則禁止されている。

[編集部 2023年4月20日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キタサンショウウオ」の意味・わかりやすい解説

キタサンショウウオ
Salamandrella keyserlingii; Siberian salamander

サンショウウオ目サンショウウオ科。体長 10cm内外の小型のサンショウウオ。体は褐色で,黄色っぽい縦条をもち,その両側が黒く縁どられている。ウラル山脈の西側からカムチャツカまで,シベリアに広く分布する。日本では北海道の釧路湿原のみに知られ,国の天然記念物に指定されている。

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世界大百科事典(旧版)内のキタサンショウウオの言及

【サンショウウオ(山椒魚)】より

…本州・四国の山地に分布するハコネサンショウウオOnychodactylus japonicus(イラスト)も全長15~19cmと大きく,円筒状の尾が全長の1/2よりも長い渓流産卵型で,肺を欠く。北海道東部の湿原に生息するキタサンショウウオSalamandrella keyserlingiは,サハリンからシベリア,中国東北に広く分布する種で,後肢の指が4本。アメリカ大陸に分布するアンビストマ科は形態的にサンショウウオ科と大差ないが,プレソドン科には,外鰓(がいさい)をもち洞窟の地下水中にすむテキサスメクラサンショウウオTyphlomolge rathbuniや,四肢が退化した細長い体をコイル状に巻いて隠れるホソサンショウウオ属Batrachosepsなど,形態,生態ともに変異に富んだものが含まれる。…

※「キタサンショウウオ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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