イギリスにある世界有数の植物園。ロンドン郊外のテムズ川沿いのキュー地区にある。面積120ヘクタール。1759年にジョージ3世の母オーガスタ皇太妃が設けた植物園が起源で、1841年に王立植物園となった。初代と次代園長を務めたフッカー父子は、植物園の主たる任務が植物分類学など植物についての基礎的研究にあることを強調し、生きた植物の収集だけでなく、植物標本館や図書館の充実に努力し、文字どおり世界の植物学研究のセンターになった。園内には2万5000種の植物が栽培され、76棟の温室があり、パームハウスは有名。ほかに低温室、バラ園、ヒースガーデン、竹園などの庭や建物がある。標本館は700万点以上の標本を収蔵し、園内のジョドレル研究所を含めて75名の研究スタッフを擁する。世界各国からの客員研究員も常時多数滞在している。ここで編集される『インデックス・キューエンシス』は世界の植物学名集覧で、5年ごとに補遺を出している。園内は一般に公開され、愛好家や一般市民を対象とした各種の啓蒙(けいもう)活動も盛んである。
なお、エジンバラにはエジンバラ王立植物園がある。1670年にできた薬草園が始まりで1889年に王立となった。面積は約25ヘクタールで、1万5000種の植物が栽培され、とくにシャクナゲとツツジのコレクションが有名。キュー植物園同様に基礎植物学の研究が主要な任務で、充実した標本館をもち、独自の研究組織をもつほか、エジンバラ大学と一体となって大学院の研究指導なども行っている。
[大場秀章]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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