日本大百科全書(ニッポニカ) 「キルト」の意味・わかりやすい解説
キルト
きると
kilt
男子用膝丈(ひざたけ)の巻きスカート。イギリス、スコットランド北部のハイランド地方の民族衣装。それぞれの氏族(クランclan)を表すタータンtartan(多色格子縞(じま)のウール地)でつくられ、氏族の男子や軍人が着用する。元来は1枚の布を体に巻き、ベルトでウエストに固定し、膝丈のスカート部と背を覆う上衣部分として着装し(ブリーカン・フェイルbreacan-feile)、ハイソックス、スポランsporran(下げ革袋)などを組み合わせた。現代のキルトはスカート部だけとなり、腰骨のあたりでバックルで締める。今日では、スコットランドの男子、軍楽隊の服装として知られているほか、婦人、子供服の基本的なスカートとして広く着用されている。キルトは元来、スコットランドあるいはサクソン語で「短くする」「体に縛り付ける」の意。
[深井晃子]