翻訳|tartan
本来イギリスのスコットランドの高地地方(ハイランド)で用いられてきた,さまざまの色糸を使った大柄の格子模様の毛織物をいう。タータンの語源は不明であるが,ケルト語ではブリーカンbreacanといい,チェックを指していた。現在にも伝わるキルトが17世紀にあらわれるまでは,人々はこのタータンを体に巻きつけたベルテッド・プラドbelted plaidと呼ばれるいでたちをしていた。タータンの柄はセットsettと呼ばれ,古くは草木染による2~3色の単純なチェックで,地方ごとに決まったタータン(ディストリクト・タータンdistrict tartan)があった。10世紀から11世紀にかけてのマルコム1世,2世の時代にスコットランド特有のクラン(氏族)制度が確立すると,それぞれのクラン・タータンが生まれた。織物業者は,このタータン柄の正確な記録のために,木版を作り保存に努めた。しかし名誉革命で王位を追われたジェームズ2世の子孫を正統な君主として支持するジャコバイトが,1746年クローデンの荒野でイングランド国王軍によって壊滅すると,翌年タータン禁止法が施行され,政治的弾圧とあいまって,タータン柄に関する記録も不明になり,古くからの木版も消失してしまった。1822年ジョージ4世がエジンバラを訪問した際,スコットランドの各領主はタータン着用を命じられ,これを契機にタータンが復活し,多くのクラン・タータン(モダン・タータン)を生むこととなった。現在エジンバラにあるスコットランド紋章院には,正当なタータン柄370点が登録されている。
なお,クランによっては狩猟用,フォーマル用と別々に持っているところもある。その他軍隊用,聖職者用,ある地方の住民の着用するディストリクト・タータン,クランの称号をもたなくとも用いられるジェネラル・タータンなどがある。王室のローヤル・タータンや軍隊のミリタリー・タータンは,イギリスおよびイギリス連邦諸国では,厳密ではないが一般には着用しないものとされている。タータンを模した織物も作られるほどに各国で愛好され,日本でもタータン・チェックとも呼ばれて,シャツ,スカート,マフラー,帽子ほかに幅広く用いられている。
→チェック
執筆者:山崎 宗城
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… 競技場の走路についていえば,当初は校庭などの地面が使われていたが,やがてコークスを敷きつめたシンダートラックcinder track,そして雨の日でも水はけの良い煉瓦の粉状の人工土を敷いたアンツーカEn‐Tout‐Cas(商標)と変化していった。1968年のメキシコ・オリンピック大会から登場したタータンTartan(商標)は革命的な変化をもたらした。合成ゴムを流し込んで固めたこのトラックは,どんな雨の日でも競技を可能にする全天候型で,さらにその弾力性ゆえに競走種目や跳躍種目の記録が大幅に向上するという副産物をもたらした。…
… 1707年の合同以来,文化面でもイングランド化がすすんでいるが,その反面,対抗意識が強い。スコットランド文化を代表するものはタータン,バッグパイプ音楽,民族舞踊であろう。タータンはハイランドの住人のキルトなどの服装に用いられ,氏族clanによってその柄が異なっていた。…
※「タータン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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